市長室だより

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令和2年3月2日
東海市長 鈴木 淳雄

当面する市政に関する所信の一端と、令和2年度予算の概要を申し上げます。

(あいさつ)

はじめに、議員各位はじめ、市民の皆様の温かい御支援、御協力によりまして、目指すまちの将来像の実現に向けて、本市のまちづくりが着実に前進できていくことを、この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。

現在、中国を中心に、世界各国で発生が報告されております新型コロナウイルス感染症が日本国内で拡がりを見せております。

先日、国において、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が発表され、感染拡大のスピードを抑制するため、この1、2週間の対応が極めて重要であると示されたところでございます。

この国の方針を踏まえ、本市におきましても、「対策本部」を設置し、当面の間、市主催事業の中止や延期、小中学校の臨時休校を実施するなど、感染及びまん延防止の観点から、市民の安全・安心の確保に向けた対策を講じているところでございます。

今後におきましても、感染拡大の動向を注視し、関係部局で情報共有するとともに、国県などの関係機関と連携を図りながら、感染拡大の防止に向けて全力で取り組んでまいります。

(市政運営の基本姿勢)

昨年、令和という新しい時代の幕開けの年に、東海市は、市制50周年という記念すべき節目を迎え、5月の「記念式典」や「オープニングイベント」を皮切りに、様々な記念事業を実施してまいりました。

これらの事業には、行政だけではなく、多くの市民や企業の方々も担い手としてご参画いただき、この記念すべき年を盛大に、そして、共にお祝いできましたことにつきましては、改めて、ご支援、ご協力いただいたすべての皆様に対しまして、心より感謝申し上げる次第でございます。

平成29年、2017年に5期目の市政運営を市民の皆様から託していただき、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック、2026年開催のアジア競技大会、そして、2027年開通のリニア中央新幹線など、将来のまちづくりに大きな影響をもたらす新しい動きに対応できるよう、誠心誠意取り組んでまいりました。

ハード面では、西知多道路の事業化と東海ジャンクション周辺工事の着工、市内9駅目となる公立西知多総合病院前の新駅周辺整備の着手、太田川駅西地区や加木屋中部地区などの土地区画整理の事業化を推し進め、ソフト面では、ホテル誘致条例の設置による2つのホテル誘致、太田川駅前を中心とした文化芸術の発信やイベント開催によるにぎわいの創出など、「新たな課題にも、勇気をもって挑戦」する気持ちで全力を尽くしてまいりました。

現在におきまして、我が国は、中国をはじめとしたアジア諸国の経済成長による相対的な地位の低下に加え、少子・高齢化を伴う急激な人口減少など、いままで私たちが経験してこなかった大きな課題に直面しようとしております。

つい先日には、本市の主要企業のひとつである日本製鉄株式会社において、将来の経営環境を見据え、名古屋製鉄所を含めた大規模な合理化案が発表されるなど、大きく変化し続けている現在の社会情勢に対応していくためには、将来を見据えた戦略や対応策が求められております。

そして、人工知能「AI」やビッグデータなどを利活用した技術革新による産業構造の劇的な変化や、SDGsによる価値観の転換により、独自性や多様性、新しいものを生み出す創造力が強く求められるなど、ここ数年で、いままでの発想を超えた時代へと急激なスピードで移行していると感じているところでございます。

今後大きく変わっていく、少子・高齢化による人口構造、経済や産業の構造、人々の暮らしや価値観などの社会環境の中で、これから向かうべき方向性を見定め、そして、この大きな変化へ柔軟かつ迅速に対応できるよう、将来を見据えたまちづくりの基礎をしっかりと固め、次の世代につないでいくことが重要であると考えております。

2020年度の予算編成におきましては、次の50年に向けて、さらに飛躍するためのスタートの年と位置づけ、本地域にもたらす「リニアインパクト」を最大限に享受できるよう、将来を見据えたまちづくりの基礎をしっかりとつくり、子どもたちが夢と希望を育み、若い世代が安心して子育てができ、そして、高齢者の皆様が健康で生きがいを持って過ごせるまちづくりを進めていくため、必要な取り組みを充実させたものでございます。

(市政運営(経営)方針)<令和2年度の主な施策>

令和2年度の予算規模は、一般会計では、440億1,300万円で、前年度の予算に比べて1.9パーセントの増、全会計の総額では、682億7,485万円、7.9パーセントの増で編成をいたしました。

なお、国の補正予算に伴い、約8億円の額を補正予算へ前倒しておりますので、それを含めますと、一般会計で447億円、全会計で690億円ほどの予算規模となるものでございます。

予算の詳細につきましては、後ほど担当部長より説明させていただきますが、私からは、6つの項目を中心にご説明申し上げます。

<リニアインパクトを活かしたまちづくり>

まず1点目は、「リニアインパクトを活かしたまちづくり」について、でございます。

ご案内のとおり、本地域は、首都圏、関西圏とともに、一つの巨大経済圏として創造する「スーパー・メガリージョン」を形成することで、日本をリードし、世界の都市に対抗できるエリアとして注目されております。

「スーパー・メガリージョン」構想の核となるリニア中央新幹線は、2027年の開業に向けて工事が進められており、高速道路網につきましては、名古屋第二環状自動車道が2020年に、東海環状自動車道が2024年に相次いで全線開通するなど、本構想を形成する高速交通ネットワークが着々と進展しております。

高速道路網の結節点に位置する西知多道路につきましては、一昨年の東海ジャンクションに続き、昨年の12月に常滑ジャンクションから北へ約4キロメートルの区間の起工式が行われ、2027年の開通に向けて、一段と整備のスピードが加速いたしました。

本市にとりましても、その立地特性・ポテンシャルが一層高まることが期待されるところでございますので、西知多道路の加家インター以南の未事業化部分や中部国際空港の二本目の滑走路などの早期の事業化に向けて、県や関係市町、産業界と一体となって強力に取り組んでまいります。

そして、西知多道路に新設予定の大田インターに隣接する太田川駅西地区におきましては、今年の組合の設立認可を目指すとともに、路線測量や予備設計など、官民が一体となって推進していくことで、広域的な交通ポテンシャルを活かした新たな産業拠点や居住環境を形成し、多様な都市機能が立地するまちづくりの推進を図ってまいります。

また、名和駅西地区については、工業専用地域として将来を見据えた土地利用ができるよう、引き続き、発起人会と協議しながら、土地区画整理事業の事業認可に向けた準備を進めるとともに、新たな一団の住宅地の確保を目的とした富木島石根地区では、2021年の整備完了に向けて、引き続き支援してまいります。

本市の東西を結ぶ主要幹線道路の一つである、養父森岡線と名鉄河和線との立体交差事業、及び新駅整備につきましては、先の臨時会でご承認いただきました鉄道事業者との協定に基づき、鉄道の仮線工事に着手するとともに、公立西知多総合病院へのアクセス通路や橋りょうの整備工事に着手してまいります。

そして、加木屋中部地区におきましては、本市が土地区画整理事業の施行者として、新たに特別会計を設置し、今年の事業計画決定を目指すとともに、民間業者の豊富な経験とノウハウを活用した包括業務委託を導入し、施行期間の短縮や事業費の削減に努めるなど、早期の土地利用の実現を目指してまいります。

加えて、加木屋社山地区では、民間事業者による大規模な宅地開発が昨年から着手されるなど、官民の力を総動員して面的整備を進めることで、本地区周辺における既存の医療・福祉機能を活かし、新駅を核として、住宅に加え、住民の暮らしを支える生活サービス施設などで形成された、歩いて暮らせるコンパクトなまちの実現を目指してまいります。

<産業振興とにぎわいづくりの推進>

次に2点目は、「産業振興とにぎわいづくり」について、でございます。

今年の7月に、我が国で「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」が開幕いたします。

昨年の11月には、日本を代表する建築家である隈研吾氏が、デザインを担当した新国立競技場が完成し、日本中を巡る聖火ランナーが発表されるなど、マスメディアで取り上げられる機会も、日を追うごとに増え、大会への機運が高まっていることを実感しているところでございます。

このオリンピックや2026年のアジア競技大会といった、世界中から多くの人が集まる一大イベントの開催はもちろんのこと、2027年のリニア中央新幹線の開通などの社会・経済環境の大きな変化により、本地域においても、より多くの外国人観光客の来訪が見込まれ、大きな経済効果が期待されております。

本市におきましても、この大きな変化がもたらす経済効果を最大限に享受できるよう、観光交流を戦略的に推進するための指針となる「観光ビジョン」を策定いたしました。

本ビジョンで示した、交流人口の拡大と、観光都市としての目指す将来像を実現していくため、新たに観光ビジョン推進委員会を設置し、様々な視点から観光施策を進め、交流人口の拡大に積極的に取り組むことで、本市の観光産業が地域経済の新たな柱として発展していくよう努めてまいります。

本市の代表的な観光資源である、大池公園の「春の桜」や「夏の花火大会」、聚楽園公園の「秋の紅葉」につきましては、ふるさと大使の芦木浩隆氏の監修による光や音の要素を加えることで、格段に魅力が向上し、市内外から多くの方々が訪れ、楽しんでいただくことができたと感じておりますので、引き続き、芦木氏と連携して、さらに「ブラッシュ・アップ」することで、昨年以上に魅力ある観光資源へと進化させてまいります。

特に、大池公園の「桜」につきましては、桜の長寿命化を図りつつ、更新計画を策定するとともに、桜の保全について学ぶワークショップを開催し、多くの市民の皆様が、本市の財産である「桜」を見守っていただく仕組みを作り上げることで、50年先の将来にわたって、本市の春を彩り、多くの方々に楽しんでいただけるよう努めてまいります。

本市のにぎわいの中核となっている、太田川駅周辺におきましては、「東海市の顔」として、にぎわいあふれる街となるよう、駅前広場を活用したイベントや、駅周辺の飲食店と連携したイベントを  開催し、駅周辺の商業活動を更に活性化するため、今後のニーズ調査などを実施してまいります。

昨年の12月、多くの市民や企業の皆様の応援・ご協力のもと、約5,600人のランナーを迎え、盛大に開催することができましたハーフマラソン大会につきましては、皆様からいただいたご意見と今回の経験をもとに、様々な見直しを図ることで、より魅力ある大会にブラッシュ・アップしてまいります。

特に、より多くの県外の方々にも参加していただけるよう、市内ホテル事業者と連携した情報発信を展開することで、本市に宿泊していただき、魅力ある東海市を楽しんでいただけるよう取り組んでまいります。

新たな観光資源化に向けて実施しております、観光クルーズ船の社会実験につきましては、工場夜景や工場見学をはじめとした様々なツアープランを企画するなど、民間事業者の参入に向けた市場ニーズの把握に努めてまいります。

愛知県独自のかんきつの新品種である「夕焼け姫」を、本市の新たな特産品とするため、試験栽培のほ場をさらに増やすとともに、「夕焼け姫」の苗木を購入する生産者を支援することで、付加価値の高い農産物の生産を通じた、農業経営の安定化を図ってまいります。

本市の特産品の一つであるらんの魅力を市内外へ発信するため、「らんの花大使」の春風弥里氏と協力して、フラワーショウ内で、子どもたちにも、花の魅力を楽しむ機会を提供するとともに、毎年東京ドームで開催され、14万人もの方が来場される「世界のらん展」に出展し、ブランド力をより一層高めてまいります。

現在、施設の在り方を検討している農業センターにつきましては、農作物の栽培研究機能に、「健康づくり」や「観光交流」などの新たな機能を加えて、本館施設のリニューアルを検討するとともに、炭酸ガスや養液栽培技術を導入したトマトの栽培温室を整備してまいります。

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      工場夜景PRポスター

<子どもたちが夢と希望を育む環境づくり>

3点目は、「子どもたちが夢と希望を育む環境づくり」について、でございます。

今の世の中は、瞬く間に高度な情報通信ネットワーク社会となり、スマートフォンやインターネットがない生活は考えられない時代となりました。

そして、近い将来には、AIやIoT、ビッグデータなどの革新技術をあらゆる産業や社会に取り入れることにより実現する新たな社会、「Society 5.0」の時代が到来し、社会構造や雇用環境などが大きく変化するといわれております。

新学習指導要領では、「Society5.0」時代を見据え、子どもたちが、情報化などによる社会変化に対応し、様々な社会課題に向き合い、解決しようとする力を育むことが重要であるとしており、今年の4月から、論理的に考えていく力を養うための「プログラミング教育」が小学校で必修化されます。

こうした「新しい学び」を支える基礎となるICT環境を充実させるため、大容量のデータ通信に対応した校内ネットワークを全小中学校に整備するとともに、教員研修センターにICT支援員を設置し、教員のICT活用指導力の向上を図り、子どもたちにとって、創造性を育む学びの中で、学習の深い理解につながるよう、効果的な指導方策を研究してまいります。

近年、不登校の背景となる子どもの課題は複雑化・多様化してきており、子どもの心のケアだけではなく、子どもを取り巻く家庭環境にも目を向けていかなければならない状況となっております。

このような複雑化した課題を解決していくため、スクールソーシャルワーカーを設置し、子どもを取り巻く環境に注目して問題解決に取り組むとともに、家庭や学校外の専門機関と連携した仕組みを構築してまいります。

ひとづくりパートナーシップ協定を結んでいる「吉本興業株式会社」と連携して、埼玉県越谷市で実践されている「教育漫才」をモデル的に実施し、コミュニケーション力と人間関係の円滑化を図るための取り組みを通じて、温かい笑いでクラスを、そして学校全体を包み込むことで、いじめや不登校の減少に努めてまいります。

現在、基礎学力の定着の場として実施しております学習支援教室につきまして、南地区のまなぶん横須賀に加えて、新たにしあわせ村に教室を開設し、北地区の中学生の皆さんがより利用しやすい環境を整えてまいります。

試験的に実施しておりました、民間プールを活用した水泳授業につきましては、新たに富木島小学校を加えて、本格的に実施してまいります。

また、将来、児童の増加が見込まれている大田小学校においては、校舎の増築に向けた検討を進めてまいります。

子どもたちが植物や生き物への関心を深められるよう、「ふるさとの自然」の再生に取り組んでいる加木屋緑地では、ホタルの観察会やワークショップなどを開催し、自然環境を大切にする心を育む場を提供してまいります。

昨年、姉妹都市である釜石市におきまして、初のアジア開催となるラグビーワールドカップが開催され、日本だけではなく、世界の多くの人々の心を熱くし、大きな感動と希望をもたらしました。

この素晴らしい大会がもたらしたレガシーを共有できるよう、大会の会場となった他の自治体の子どもたちとともに、本市の子どもたちが訪問し、釜石市の子どもたちとラグビーを通じた交流を行ってまいります。

新宝緑地運動公園の返還を見据え、この度、人工芝にリニューアルしました元浜サッカー場に加え、大会の開催や、子どもたちの硬式野球の練習にも対応した加木屋球場、ソフトボールに対応した上野台公園のリニューアルをそれぞれ実施してまいります。

横須賀のまちづくりは、江戸初期の横須賀御殿の造営にはじまり、伝統的な文化を育み、山車まつりなど現代に引き継がれてきております。

現在、江戸時代から残る町割や昔の風情を活かしていくため、無電柱化など街並みに配慮した景観整備を進めているところでございます。

近年、地球温暖化防止として、木を使った建築デザインが世界中でトレンドとなっており、木を多用し、温かみを感じる日本建築が見直されているとともに、最近の都市再開発におきましても、歴史の継承や建築・景観資産への配慮や尊重が格段に高まってきていると感じております。

今もなお、歴史や伝統的な文化を継承している横須賀の、未来へのまちづくりに向けて、本地区のシンボル的な建築物となりうる文化センターにおきまして、日本の自然素材や伝統工法を巧みに用い、環境に溶け込む建築が特徴的で「和の大家」と呼ばれております、隈研吾氏をお招きした講演会を開催いたします。

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     リニューアルした元浜サッカー場

<子育てしやすい環境の充実>

4点目は、「子育てしやすい環境の充実」について、でございます。

子どもは、社会の希望であり、未来を創る力であります。

安心して子どもを産み、育てる喜びを実感できる社会の実現、次の世代の子どもたちが幸せに健やかに育つ社会の実現が重要であると考えております。

変化し続けている子どもや保護者を取り巻く環境に対応していくため、子育て施策の指針となる、「子ども・子育て支援事業計画」を新たに策定いたしました。

地域や社会が保護者に寄り添い、子育てに対する負担や不安、孤立感を和らげることにより、親としての成長を促し、子育てや子どもの成長に喜びや生きがいを感じることができる社会を目指してまいります。

次世代を担う子どもたちの健やかな成長と、安心して妊娠・出産、子育てできる環境を整えるため、母子健康手帳交付時の専門員等による面談や、出産後の全戸家庭訪問、有償ボランティアによる育児・家事援助などに加え、産前産後サポートの児童館での追加実施、翻訳機導入による外国人への対応など、引き続き、産前産後の支援に重点的に取り組み、様々な機会を通して、きめ細やかにケアをすることで、妊産婦が安心して出産・子育てができるよう努めてまいります。

本市では、2007年から中学生の入院費無料化など、先進的に子どもの医療費の無償化に取り組んでまいりましたが、さらなる保護者の経済的負担の軽減を図るため、大学生まで拡充して入院費用を助成し、学生の皆さんが学業に支障なく、将来の夢に向かっていただけるよう支援いたします。

現在、京都大学と連携して、小中学校の健康診断の結果をデータ化し、保護者に対してアプリケーションで情報提供する実証実験を行っております。

作成したデータを、乳幼児の健診情報と一元化し、経年で蓄積することで、生涯にわたる健康の保持増進に効果的に役立てるよう研究してまいります。

本市におきましては、近年の女性の活躍を背景とした保育ニーズの多様化などに対応するため、保育士の確保や民間事業者の保育施設整備に対する補助などの取り組みにより、年々増加する入所希望者の受け皿を確保し、待機児童の解消や保育の質の向上に取り組んでまいりました。

2016年に民間事業者による小規模保育所が開所してから今日まで、民間保育施設の整備への支援を強力に進めたことで、11園の民間施設が新たに開所し、375人の児童の受け皿が確保され、待機児童も年々減少し大きな効果を上げております。

また、企業主導型の保育施設も8か所開設され、更に230人を超える受け皿が市内に増えたことで、女性の活躍を背景とした多様化する保育ニーズへの対応が着実に進んできております。

引き続き、小規模保育所等の施設整備を支援し、民間事業者の参入を促すことによって、増加する入所希望者の受け皿を確保してまいります。

そして、待機児童の解消だけではなく、多様化する保育ニーズに柔軟性とスピード感を持って対応していくためには、公共だけではなく、民間事業者の力を積極的に活用していく必要があるため、専門の組織を設置し、民間事業者の参入促進及び連携体制を強化してまいります。

木田北部土地改良区内に移転予定の大田保育園につきましては、用地取得や実施設計を行い、保育環境の充実に向けた準備を進めてまいります。

<高齢者の健康づくり・いきがいづくり>

5点目は、「高齢者の健康づくり・いきがいづくり」について、でございます。

我が国は、世界の国々が経験したことのない超高齢社会に突入しております。

これまでは、60歳で定年になり、その後は余生を過ごすというライフプランが一般的でありましたが、長寿化が進み70歳を超えても働き続ける「人生100年時代」が訪れようとしております。

この長寿社会が到来しようとする中、100年という長い人生をより充実したものとするためには、心身が健康で、生涯にわたる学習や、スポーツや文化芸術活動、地域のコミュニティ活動に積極的に関わるなど、すべての人が元気で活躍し続けられることで、人生や社会を豊かにしていくのではないかと考えております。

本市におきましては、これまで、市民大学「平成嚶鳴館」やシルバー人材センター、シニアクラブなどの団体と連携しながら、学びや活躍の場を提供するとともに、先進的で多様な視点から、「運動・食生活応援プログラム」や「トマト健康プロジェクト」をはじめとした「いきいき元気推進事業」を展開することで、元気でいきいきとした生活を送っていただけるよう取り組んでまいりました。

今後におきましても、「生きがいがあり健康なまち東海市」の実現に向け、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を送り続けることができるよう、身体機能や認知機能の維持向上を目的とした事業を地域で展開するとともに、特定健康診査の貧血や心電図の検査項目を、全ての方に対し実施することで、疾病や心身の機能低下の更なる早期発見に努めてまいります。

特に、後期高齢者の方に対しましては、栄養士が家庭訪問し、低栄養による虚弱状態を予防し、保健師が早期の保健指導や治療につなげることで、糖尿病等の発症・重症化を予防し、健康寿命の延伸と医療費など社会保障費の低減を図ってまいります。

また、高齢者の健康づくりの契機となるよう、市営スポーツ施設とあわせて、荒尾町に誘致しました民間の健康増進施設の利用料金の一部を助成してまいります。

さらに、若年層の皆様に対して、健康診査や歯周病検診の機会を提供し、若い頃から健康への意識を高め、生活習慣病など疾病の早期発見を促すことで、生涯にわたって元気でいきいきとした毎日を送っていただき、健康寿命の延伸を図ってまいります。

昨年、障害のある人たちの就労につなげるため、県内では4番目となる民間事業者による農園が加木屋町に開設されました。

本市は、市内在住の障害者の優先雇用などを内容とした協定を締結し、市内の多くの障害者の方々が就労されましたので、将来にわたって、定着して就労を続けていただけるよう相談支援を実施し、障害者の皆さんが、自立し、いきがいを持って働き続けていくことができるよう支援してまいります。

<安心・安全なまちづくり>

6点目は、「安心・安全なまちづくり」でございます。

近年、地震や台風などの自然災害が相次ぎ、全国で甚大な被害が発生しております。

その都度に、多くの尊い生命が危機にさらされ、莫大な経済的・社会的な損失を繰り返しており、大規模災害の危機を直視し、平時から災害に対する意識や備えを行うことが重要であると考えております。

本市におきましても、市民の生命や財産を守るためのリスク・マネジメントの指針として、本市の脆弱性の評価や基本的な強靱化への方向性を示した「地域強靱化計画」について、今後、関係団体とさらに協議・検討を行い、アクションプランなどを加え、より実効性のある計画へブラッシュ・アップしてまいります。

また、浸水対策として、大田川流域である加木屋町木之下地区の雨水貯留施設の実施設計を行うとともに、加木屋コミュニティや船島コミュニティと協働して、地区の避難行動計画やハザードマップを作成してまいります。

東日本大震災の経験から、広域にわたる大規模災害時には、行政が直ちに駆けつけて救助や支援を行うには限界があり、地域のコミュニティやNPOなどによる「共助」が大きな力となることが認識されました。

そのため、大規模災害発生直後から市外の救助者が到着するまでの間、一人でも多くの命を救うための共助機能を強化するため、日本福祉大学と連携して、市内在住の就業していない看護師や保健師など、「潜在看護職」を対象にした災害支援研修を実施いたしました。

地域に埋もれている力を災害時に発揮していただけるよう、「潜在看護職」だけではなく、就業していない歯科衛生士や栄養士など、対象を拡大して災害支援研修を実施し、災害発生時の共助システムの構築に結びつく基盤形成に努めてまいります。

東日本大震災の津波から小中学校の子どもたちのほぼ全員の命が守られた「釜石の奇跡」といわれた防災教育や実際の被災体験を学び、交流を深めるため、小学6年生の児童代表を釜石市へ派遣いたします。

そして、災害時の避難所となる体育館の環境改善を目的に、2つの中学校をモデルとして、避難時のエアコン設置における空調の効率性や導入手法などを検討してまいります。

昨年、横須賀小学校区と緑陽小学校区に設置いたしました防犯カメラにつきましては、犯罪件数の減少など一定の効果が認められましたので、残りの10小学校区のすべてに防犯カメラを設置し、市域全体を網羅することで犯罪の抑制に努めてまいります。

<結び>

以上、本市の更なる飛躍に向けた、新たなステージへの第一歩を市民の皆様とともに歩んでいき、将来の発展につながるよう「将来を見据えたまちづくりの基礎をしっかりと固めること」に加えて、「次の世代へバトン・たすき」をつないでいくための取り組みと施政の所信を申し述べてまいりました。

これからの50年先を見据え、本市がさらなる発展をすることで元気で活力あるまちであり続けていくことができますよう、議員並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。

2020年3月2日