市長室だより
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2017年7月1日 No.146「平成29年度施政方針について」

平成29年7月1日

東海市長 鈴木 淳雄

当面する市政に関する所信の一端と、平成29年度の補正予算の概要を申し上げ、議員各位と市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

(あいさつ)

最初に、このたびの市長選挙におきましては、多くの市民の皆様の御支持をいただき、無投票当選という形で、5期目の市政運営を託していただきましたことは、身に余る光栄でございます。

また、全国の多くの自治体においては、「人口減少・少子高齢化」という、大きな課題への対応に苦慮していると聞いておりますが、本市では、「元気な愛知県」の中にあっても、指折りの元気さと活力ある都市として、高い評価をいただくとともに、本市のまちづくりが前進できておりますのも、ひとえに皆様方のお力添えのたまものであり、この場をお借りしまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。

(これまでの市政運営の総括)

さて、私は、4年前の4期目のスタート時において「3期12年の取り組みをとおして、少しずつ咲いた花に実を結ばせる期間と位置づけ、市民の皆様に豊さと住みよさを実感できるまちづくりを進めるために、ハード・ソフト両面における、まちづくりの総仕上げに取り組む」ことを、施政方針で表明するとともに、ハード面では、市の玄関口である芸術劇場をはじめとした太田川駅前整備の完了、公立西知多総合病院の開院による質の高い医療機能の確保、災害時のための、南柴田地区の津波避難施設と健康交流の家の複合施設建設などを進めることができました。

次に、ソフト面では、芸術劇場を核とした芸術文化の創造や、パスポートセンターの開設、交流の拡大やにぎわいづくりに必要な「ホテル等の誘致に関する条例」と、中小企業振興の基本となる「中小企業振興基本条例」の制定、子どものいじめ対策、75歳以上の循環バス無料化などに、取り組むことができました。

それぞれの取り組みについては、市民福祉の向上と住みやすいまちづくりに、つながっているものであり、また、先進的・戦略的に進めてきたことで、経済誌が毎年公表している「住みよさランキング」では、上位ランクをキープしているとともに、合計特殊出生率は、高い水準を維持し、人口も就任以来、着実に増加し、現在では11万4千人を超える都市として発展してまいりました。

また、財政面でも、この16年間で、税収が単年度で約50億円増えるとともに、借金である市債と債務負担行為を合わせて約200億円を減額するなど、健全な財政運営を維持できております。

加えて、昨年11月には、「第36回緑の都市賞」の「緑のまちづくり部門」において、国土交通大臣賞を受賞するなど、本市のまちづくりは、客観的にも、高い評価をいただいていることから、「まちづくりの総仕上げ」というお約束は、概ね果たすことができたものと、考えているところでございます

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        東海市芸術劇場               大堀緑道の芝桜

(5期目の市政運営の基本姿勢)

一方で、この4年間には、将来のまちづくりに大きな影響をもたらす、新しい動きがいくつかありました。

リニア中央新幹線と西知多道路の着工、中部国際空港の第二滑走路の整備につながる動き、愛知県でのアジア大会の開催決定などですが、こうした大きな動きを受けまして、今後4年間、私に期待されておりますのは、「将来を見据えたまちづくりの基礎をしっかり固めて、次の世代にバトン・たすきを渡していくこと」ではないか、と考えております。

特に、2027年に開通予定のリニア中央新幹線がもたらす「リニアインパクト」や、その1年前の2026年のアジア大会での、東南アジア諸国からの「人・モノ・金」の大きな流れと、鉄道では、東海道新幹線とリニア中央新幹線、高速道路では、東名と新東名の整備によって、他の地域には、例のない「ダブル・アクセス」が10年後に見えていることで、この「50年ぶりのチャンス」を、逃すことなく、本市のまちづくりや活性化に結びつけていくことが、大きなポイントとなっております。

そのために、ハード面では、西知多道路に新設予定の大田インター周辺に、新たな企業などを誘致するための区画整理事業の準備に加えて、市北部の伊勢湾岸自動車道のインターチェンジ周辺での民間開発による企業進出の支援をしてまいります。

また、超高齢社会への対応と「コンパクトなまちづくり」に欠かせない市民の「足」として、重要性が増している鉄道関係では、西知多総合病院前の新駅設置を加速するとともに、市内の8駅につきましても、名鉄と連携して、それぞれが特色ある駅づくりや周辺の整備を進めることで、市民の通勤、通学を始め、日常生活の選択肢や可能性を広げることを目指し、「東京まで1時間のまち」として、利便性を一層向上させていきたいと考えております。

次に、ソフト面では、本市は、中部国際空港と名古屋駅との中間点という優れた立地特性から、市内や周辺地域で不足しているホテルの誘致を進めるとともに、産業観光や福祉観光の充実、また、特産の洋ランなどを海外に売り込むなど、積極的なプロモーション活動をとおして、産業振興にも貢献してまいります。

以上のように、5期目の市政運営に当たりましては、「新たな課題にも、勇気を持って挑戦していくことで、まちづくりを停滞させない。」という強い決意を持って、各種事業では、時代の変化に柔軟に、そして迅速に対応できるよう「ブラッシュ・アップ」、一層の「磨き」をかけて、輝かせていくこと、リニアインパクトや西知多道路の整備などを見据えた、適切な取り組みを進めていくこと、そして、地域住民の生活圏の拡大などを受けて、広域行政を深化させていくという、3つの視点から、市民の皆様に、より質が高く、心豊かな生活をしていただくための「基盤づくり」を進めまして、「東海市に住んで良かった」、「住み続けたい」と言っていただけるよう、そして若い世代の方には「良いまちをつくってくれた」と実感していただけるように、議会の皆様と両輪となって、「元気で持続可能な東海市」を、次世代にしっかりつなげたいと考えております。

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太田川駅周辺

(平成29年度の主な施策)

さて、昨年の英国のEU離脱問題やアメリカのトランプ新大統領の政治手法が象徴しておりますように、自国の利益を重視する孤立主義的・保護主義的な動きが進む中で、世界の政治・経済の先行きは、不透明感を増しております。

そうした中、我が国の経済は、好調な海外需要に引っ張られる形で、2016年度の鉱工業生産指数が前年を11%上回って3年ぶりの増加となり、また、今年4月の有効求人倍率は、バブル期の1990年11月以来、26年ぶりの高水準となったこと、そして好調な輸出状況などから、日銀による4月末の景気の基調判断では、「緩やかな拡大に転じつつある」として、リーマンショックから9年ぶりに上方修正した「拡大」という表現が盛り込まれております。

その一方で「個人消費は徐々に持ち直ししているものの、消費者の節約志向は依然根強く、景気回復の実感は、広がっていない。」、というような、日銀と温度差のある見解も出ており、また、世界的な企業であるトヨタ自動車が、2017年3月期の連結決算で、5年ぶりに減収・減益となったこと、そして2018年度は、一層の減収を見込んでいると発表されるなど、まだまだ日本経済の先行きが見通せない状況となっております。

いずれにいたしましても、景気の状況を把握していくためには、雇用、賃上げ及び物価並びに為替や株価の動向を注視していくとともに、本市の基幹産業の鉄鋼企業などの業績について、アンテナを高くして、情報収集をしてまいります。

さて、本市の税収については、前年度当初予算より増収の見通しではあるものの、大幅な税収増を見込めない中で、効率的・効果的な事業の展開、事業費の精査、また、適債事業の厳選による地方債と基金の活用などによって、将来を見据えて、今なすべきことを実行するための予算を編成いたしました。

今回補正いたします額を含め、平成29年度の予算規模は、一般会計では425億1,225万2千円で、前年度に比べ0.2%の減、全会計総額では、674億7,609万2千円で、0.5%の減となっておりますが、今年度から取りやめました土地開発公社への貸付金7億円を除きますと、一般会計では前年度に比べ1.4%の増となるものでございます。

補正予算の詳細につきましては、後ほど担当部長より説明させていただきますが、私からは、7つの項目を中心にご説明申し上げます。

<子どもたちが夢と希望を持てる環境づくり>

まず1点目は、「子どもたちが夢と希望を持てる環境づくり」について、でございます。

ご案内のように、日本には春夏秋冬それぞれの季節の変化と季節ごとの自然の美しさや特徴があります。特に子どもたちは、自然への畏敬や不思議さを感じ、また、心を揺り動かされることで、大きく成長していきます。しかしながら、近年では都市化の影響などもあって、身近に自然と触れあうことができる環境が失われつつありますので、子どもたちに自然の不思議さや素晴らしさに出会い、発見する機会をできるだけ多く提供できる場を、将来にわたり残していくことが重要と考えております。

昨年、加木屋緑地に秋の七草のひとつであるフジバカマを地元小学生や市民の皆さんと1,000株を植栽しましたが、10月頃に開花した、フジバカマの花の蜜を求めて、1千キロを越えて旅をする渡り蝶、アサギマダラが飛来いたしました。

引き続いて、子どもたちが植物や生き物への関心を深めるとともに、ふるさとの自然を大切にする心を育むため、廻間公園にフジバカマを植栽するなど、環境学習の場を充実させます。さらに、市制50周年に向けては、ホタルやトンボなど多様な生き物と身近に触れあうことができる場を創出するために、公園や緑地の生態環境調査を実施いたします。

未来を担う子どもたちが安心して健やかに成長できる、いじめのない地域社会を実現するために、「子どものいじめ防止条例」をベースとして、関係機関等の連携を図るとともに、さまざまな観点から、いじめの防止等の対策に取り組んでまいりました。その一つ、子どもたちの主体的な取り組みとして、小中学校の代表児童・生徒による「子どものいじめ防止サミット」などをとおして、意識調査の結果分析や、「いじめをなくす・防止する」ための方策などを取りまとめていただきましたが、今後は、その成果を各小中学校にフィードバックするとともに、いじめ防止キャラクターによる啓発活動や、中学生を対象とした映画「海難1890」の鑑賞会の実施など、他者への理解を深める取り組みを進め、また、教職員や主任児童委員への研修も実施してまいります。

また、子ども実態調査の結果をもとに、課題の分析や対応策を検討いたしまして、今後の子どもの健全育成や子育て支援につなげてまいります。

急速なグローバル化が進展する中、今後、日本は、多文化・多言語・多民族の人たちとの協調など、国際化が進むことで、さまざまな場面において、外国語を用いたコミュニケーションが必要な機会が格段に増えることが予想されます。

国では、2020年から導入予定の次期学習指導要領において、小・中学校における英語教育の拡大強化や高度化など、英語教育全体の抜本的な充実を図って、グローバル化に対応した環境づくりを進めております。

本市では、子どもたちを海外の姉妹都市へ派遣するなど、早い時期から、外国の同世代との交流や、異文化の体験をとおして、国際感覚の醸成に成果をあげていることから、引き続き、英語指導支援員の配置や、中学生の海外体験学習などを実施してまいります。

2019年の釜石市でのラグビーワールドカップ開催に向けて、子どもたちには、釜石市への応援とともに、日本のトップレベルのスポーツ選手のプレーを観戦させることで、トップアスリートの育成に向けた、ジュニア世代の競技力向上につなげてまいります。

次世代の文化創造の担い手の育成のため、子どものオーケストラや児童合唱団、ダンスチームなどの市民参加型の事業を展開していくとともに、ワークショップやアウトリーチ事業により、子どもたちが文化芸術に親しむことができるさまざまな機会を提供してまいります。

また、利便性の高い尾張横須賀駅前の元JAビルに、図書館分館や教員研修センターなどの複合施設を2年間で整備し、生涯学習環境の拡大とともに、教員研修や不登校対策の充実など、義務教育の一層の支援を図ってまいります。

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     加木屋緑地に飛来したアサギマダラ           東海児童合唱団   

<子育てしやすい環境の充実>

次に2点目は、「子育てしやすい環境の充実」について、でございます。

国の女性の活躍促進政策の推進により、女性就業者は、平成24年から平成28年にかけて約150万人増加し、特に0歳から3歳の子どもを持つ方では、17万人増加しております。そのため、早い時期から、子どもを保育園に入園させたいと希望する方が増えたことにより、全国的に待機児童が大きな問題となっております。

本市におきましても、待機児童ゼロを念頭に、園舎の増築など保育環境の充実に取り組んでまいりましたが、ここ数年は、3歳未満児の待機児童が発生しております。

そのため、必要な保育士の確保に加えて、民間事業者による認定こども園や小規模保育所等の施設整備に助成するなど、民間事業者の参入を促すことによって、増加する入所希望者の受け皿を確保し、待機児童の解消に取り組むとともに、低所得のひとり親世帯等の保育料を一人目から無償化にすることにより、経済的な負担軽減を図ります。

また、昨年度から整備を進めておりました、あすなろ学園が7月に開所する運びとなりました。今後は、一体的な施設となったカトレア学園と連携しながら、より充実した療育支援を行ってまいります。

そして、女性の結婚や出産後の早期の職場復帰を促すために、育児休業中の方を対象に、子育てや仕事復帰の各種講座を開催するなど、女性が社会で活躍できるよう支援してまいります。

核家族化や地域とのつながりの希薄化等により、地域において妊産婦やその家族を支える力が弱くなってきていることから、妊娠・出産から子育てまでの切れ目ない支援が必要となっております。

そのため、母子健康手帳の交付の際に専門員が面談し、支援プランの作成や、指導・助言を行うことに加えて、新たに、子育てサポーターが産前・産後の家庭を訪問し、傾聴、相談などを行うとともに、必要に応じて有償ボランティアが育児・家事の援助をしてまいります。

また、育児に不安がある方には、医療機関などで宿泊による保健指導の費用を助成するとともに、産後の初期段階における母子へのフォローを強化するため、産婦健診を1回分追加して、2回実施するなど、安心して妊娠・出産、育児ができるよう、また、妊娠・子育ての不安や孤立の軽減と児童虐待の予防に取り組んでまいります。

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新しいあすなろ学園

<高齢者の健康づくり・いきがいづくり>

3点目は、「高齢者の健康づくり・いきがいづくり」について、でございます。

我が国の総人口が減少していく中、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、高齢者が、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じて、自立した日常生活をおくることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制を構築するために、これまでの市全体を対象とする検討体制に加えて、より身近な地域でのネットワークづくりとICTの導入による医療と介護の連携を進めてまいります。

また、介護予防給付として提供しておりました訪問・通所介護予防事業を、介護予防・日常生活支援総合事業に移行し、要支援認定者や事業対象者の能力を最大限に活かしつつ、多様な主体と共に住民が参画していけるよう、サービスを提供してまいります。

そして、高齢者がいつまでも元気で自立した生活が送れるよう、国立長寿医療研究センターと研究協定を締結し、高齢者の認知機能や運動機能など心身の検査を行い、認知症などの予防や改善するためのプログラムの開発と効果の検証を行ってまいります。

「生きがいがあり健康なまち東海市」の実現に向け、「いきいき元気推進プラン」に基づいて、健康応援ステーションでの「運動・食生活応援プログラム」をはじめ、各種事業を展開することで、働き盛りの壮年期からの健康づくりに、積極的に取り組んでおりますが、特に、豊かな経験や知識、技能を持った高齢者が、いきいき元気で、積極的に社会参加していただくことは、介護予防や認知症予防につながるだけではなく、社会全体の活力を維持していくために重要と考えております。

そうした意味において、日ごろより、地域の社会活動にご尽力いただいております「老人クラブ」につきましては、昨年度の老人クラブ活性化検討委員会の提言を受けまして、高齢者の「生きがいづくり」、「健康づくり」、「仲間づくり」、そして、「地域づくり」を拡充する主旨を含めて、名称を「シニアクラブ」へ変更されました。この新たな出発を契機に、クラブの活動を広く紹介するとともに、感謝する機会を設けることで、今後の活動意欲の向上や魅力あるクラブづくりを後押ししてまいります。

また、「シニア」として、まちづくりを支えていく側の一人として、積極的に社会参加していただくよう期待しているところでございます。

勤労者を始め、多くの市民の皆さんには、勤労センターの新設したトレーニング施設を利用して、健康づくりにつなげていただくとともに、さらに、健康づくりができる環境を充実させるため、知多市と共同して建設する健康増進施設の基本構想を策定いたします。

人口減少社会の到来により、社会経済や地域社会の状況が大きく変容する中で、自治体の行財政運営を取り巻く環境は、一層厳しさを増しておりますが、市民の暮らしを支える行政サービスを安定的・継続的に提供していくためには、民間のノウハウの活用とともに、生活圏の重なる近隣市との広域連携の拡大が重要となっております。特に、知多市さんとは、これまでも病院事業やパスポートセンターなど、共同して事業を展開しておりますが、現在もごみ処理施設や消防救急などの分野において連携・協力の方向で協議を進めておりますので、行政サービスの質の向上とスリムで効率的な組織体制の実現につなげていきたいと考えております。

<産業振興とにぎわいづくりの推進>

4点目は、「産業振興とにぎわいづくり」について、でございます。

前回の定例会におきまして、中小企業の振興に関する基本理念を定めた「中小企業振興基本条例」を制定いたしましたが、条例の基本理念に基づき、中小企業を始め、市全体の産業ポテンシャルを最大限に発揮できる産業振興の具体的な方向性をお示しするとともに、実効性のある戦略的な施策展開の方策を総合的かつ計画的にまとめた「産業振興ビジョン」の改定に着手してまいります。

また、商工業の活性化が、雇用の創出やまちのにぎわいづくりにもつながっていくことから、市内中小企業の再投資の促進や次世代産業の振興に向けた取り組み、また、近隣の学生を対象にした地元企業による合同説明会の開催のほか、市内企業の優れた製品のPRの一環として、世界的に評価の高いブリッド社製のベンチシートを市民体育館や芸術劇場に設置するなど、市内企業の支援についても、商工会議所と連携して多角的に取り組んでまいります。

昨年、海外プロモーションで訪れましたシンガポールでの花きバイヤーとの意見交換会や、今年の2月に実施しました海外バイヤーの市内生産者の視察では、本市で栽培されている洋ランについて、非常に高い評価をいただき、新たな販路拡大の可能性を再認識いたしました。次世代にとっても魅力ある産業に成長させていくため、アジアへの花き輸出主要国である香港へ生産者を派遣し、市場調査や現地バイヤーとの意見交換会を実施するとともに、海外への販路拡大に取り組みます。

また、その他の農産物についても、昨年に引き続き、シンガポールで開催予定の「フードジャパン」に生産者の代表を派遣して、農産物の将来的な販路拡大に向けた市場調査や現地バイヤーへの積極的なPRを行ってまいります。

いずれにしましても、人口減少に伴う国内市場の先細りを見据え、海外からの観光客を多く取り込み、また、市内産品の海外への販路拡大など、多角的経済政策を戦略的に推進していくことが、持続可能なまちの実現には不可欠なことと考えております。

そのため、本市の魅力を積極的かつ効果的に海外へアピールしていくことを目的として、経済面で日本と密接な関係にあるアジア圏を中心にトップセールスを実施し、産業及び観光の振興につなげてまいります。

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<安心・安全なまちづくり>

5点目は、「安心・安全なまちづくり」でございます。

昨年4月に震度7の地震が連続して発生して、甚大な被害をもたらした熊本地震を始め、近年多発しております大規模災害から、市民の生命と財産を守り、また、発災後のまちの復興が早期に実現できるよう、災害に強いまちづくりと、減災対策に取り組んでいくことが強く求められております。

そのため、無料の耐震診断を実施するとともに、耐震改修や耐震シェルターなどに対する助成を引き続き実施してまいります。

また、養父地区には、津波避難施設の機能を備えた、児童館と健康交流の家の複合施設を整備し、子どもから高齢者まで多世代が交流することで「地域の絆づくりの拠点」としてもご利用いただけるものでございます。

熊本地震などでの教訓として、避難所生活において、特別な配慮が必要な妊産婦や乳幼児には、安心して避難生活を送ることができるよう、南北の子育て支援センターを福祉避難所として位置づけ、必要な物資を配備いたします。

大田川流域の浸水被害対策として、国の「100ミリ安心プラン」に登録されました「大田川流域における浸水対策推進プラン」を着実に推進するため、県事業として順次実施されております大田川の河川改修に合わせて、加木屋町 内堀地区などで雨水幹線を整備するとともに、浸水対策をより確実なものとするため、雨水貯留施設の配置計画を策定し、早期の浸水被害の軽減に取り組んでまいります。

近年、悪質商法や多重債務などの消費者トラブルに巻き込まれるケースが年々増加しております。そのため、市民の消費生活における安心・安全を確保するため、「消費生活センター条例」を本会議に提案させていただくとともに、被害防止の重要な機能である相談業務の充実を図り、市民の消費生活の向上に取り組んでまいります。

<リニアインパクトを活かしたまちづくり>

6点目は、「リニアインパクトを活かしたまちづくり」について、でございます。

先ほども触れましたが、2027年にリニア中央新幹線の東京-名古屋間が開通することにより、本市から東京まで1時間圏内となることで、ビジネス面や観光交流の拡大が期待されておりますが、中部圏、特に愛知県のポテンシャルをさらに高めていくためには、陸・海・空の交通インフラが強固に、そして、有機的に結びつくことが必要でありますので、中部国際空港の2本目の滑走路と西知多道路、東海環状自動車道、名古屋環状2号線などの中部圏交通ネットワークの実現に向けて、関係市町と一体となって取り組んでまいります。

また、本市を取り巻く環境の変化を見据えたまちづくりの将来像を明確にしていくため、県が進める都市計画区域マスタープランや区域区分の見直しに合わせ、本市の都市計画マスタープランの改定に着手いたします。

そして、西知多道路の整備に合わせて新設予定の大田インター周辺地区については、広域的な交通ポテンシャルを活かし、新たな産業拠点等の形成を図るため、土地区画整理事業に向けた準備を進め、また、名和駅西地区については、将来を見据えた土地利用ができるよう、土地利用基本計画を策定いたします。

昨年度策定の立地適正化計画では、本市の都市づくりの基本となる鉄道駅を中心とした、コンパクトなまちづくりの実現を目指していることから、西知多総合病院前の新駅の詳細設計を実施するとともに、本市の人口増加に対応すべき新たな一団の住宅地の確保に向けて、加木屋中部地区の土地区画整理事業の準備を進めてまいります。

本市の東西を結ぶ主要幹線の一つとして、また、近隣市町の三次救急医療機関と西知多総合病院とのアクセス道路として、重要な役割を担う養父森岡線と名鉄河和線との立体交差事業については、本格的な工事着手に向け準備してまいります。

さて、昨年の訪日外国人観光客数が過去最高の約2,400万人と、初めて2,000万人を突破いたしました。東京オリンピックやアジア大会では、本地域においても外国人観光客の大幅な増加が見込まれるなか、本市では、インバウンド戦略での優位性や産業の一層の振興を目的に、県内では初めての「ホテル等誘致条例」を制定しておりますが、その第1号として、平成30年に太田川駅前にホテルが開業されることが決定しており、観光客の受け皿も整いつつあります。

加えて、交流人口の拡大による地域経済の活性化を目的に、市内を中心とした観光モニターツアーの開催や観光マップの作成、参加者が情報発信できるようSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の専用ページの開設、また、太田川駅周辺のにぎわい拡大のため、大屋根広場を活用して、姉妹都市の沖縄市をテーマにイベントや物産展などを開催するとともに、大学などが主催する学会や全国大会が、本市で多く開催され、全国から多くの方が本市に来訪されることから、開催時期に合わせて、イベントを実施するなど、主催者と連携しながら積極的に本市をPRしてまいります。

また、本市の貴重な観光資源の一つである「山車まつり」が毎年、横須賀町と大田町で行われておりますが、この伝統ある二つの山車まつりの期間を「山車まつりウィーク」として、一体的にPRすることで、観光資源の強化につなげてまいります。

<市制施行50周年に向けた取り組み>

7点目は、「市制施行50周年に向けた取り組み」でございます。

本市は、昭和44年4月1日に愛知県内で23番目の市として誕生以来、県下でも有数の生産量を誇る洋ランを始め、全国有数のフキの産地として、また、中部圏最大の鉄鋼基地として、農業や商業、工業がバランスよく発展を遂げてまいりました。

こうしたなか、平成31年には、市の誕生から半世紀という大きな節目となる、市制50周年を迎えることから、先人たちの努力と功績をたたえるとともに、次の50年を展望し、市民の願いである、心豊かで活力に満ちたまちの実現に向って、環境、健康、景観、安全などの必要な「まちの要素」を、質の高いレベルで、次世代へ大切につないでいくなど、「持続可能なまち」となるよう、本市の更なる「飛躍」を図る出発点として位置付けてまいります。

そこで、50周年記念事業を総合的に推進していくために、関係団体の代表者等で構成する「記念事業推進委員会」を設置し、記念事業の「基本理念」、「基本方針」等について定める「基本構想」を策定するなど、本格的な準備を進めてまいります。

また、東海市都市宣言で表明した「東海市らしさの創造と市民の夢の実現」に向けて、平成26年度からスタートした第6次総合計画につきましては、人口減少社会の到来の中にあっても、本市の人口は順調に増加していることなどを踏まえて、計画人口の見直しや、前期基本計画における施策のフォローアップ、財政状況及び社会情勢による見直しなど、社会環境の変化に適切に対応していくため、後期基本計画の策定に向けた現状調査等を実施してまいります。

<結び>

以上、5期目の初年度に当たり、また、新しい課題への適切な対応などによって、将来の発展に加えて、「次世代へバトン・たすき」をつないでいくための取り組みと施政の所信を申し述べてまいりましたが、議員並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。

2017年7月1日