施政方針

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ページ番号1006574  更新日 2025年6月10日

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令和7年度施政方針について

あいさつ

 このたび、多くの市民の皆様をはじめ各方面の市政発展に寄せる大きな期待に応えるべく、引き続き2期目の市政運営の重責を担わせていただくこととなりましたことは、身に余る光栄であると同時に、改めてその責任の重大さを痛感しているところでございます。今後も市民の皆様一人ひとりの声をしっかりと受け止めながら、これまで先人が築き上げてきたまちづくりをさらに発展させ、市政運営を担っていく所存でございます。
 今後とも、本市のまちづくりを着実に進めていくために、引き続き、議員各位はじめ市民の皆様の温かい御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。 

1期目の市政運営の総括

 さて、私は、4年前の市長選挙におきまして、多くの市民の皆様の御支持をいただき、初めて市政の舵取りを務めさせていただきました。そのスタート時において、「ふるさと東海市を誰もが誇れるまちに発展させたい」という強い決意のもと、市政運営を担っていく覚悟を施政方針で表明させていただきました。
 この4年間を振り返りますと、就任当初は、新型コロナウイルス感染症の影響によりかつてない困難に直面した時期でありました。このような状況下において、接種を希望するすべての市民の皆様がワクチンを速やかに接種できるよう体制を整備したことに加え、市内で使用できる食事券や商品券を市民の皆様へ配布するとともに、キャッシュレス決済によるポイント還元を実施するなど、コロナ禍における市民の生活支援や事業者支援へつなぐことで、未曽有の困難に対して迅速かつ着実に取り組んでまいりました。
 都市機能を高めるため、市内で9駅目となります加木屋中ノ池駅の開業や、本市の東西を結ぶ主要幹線道路の一つである都市計画道路養父森岡線の開通、都市計画道路名古屋半田線の開通、また、循環バスを5路線11系統へ再編するなど、市内全域において利便性が高く、魅力あるまちづくりに取り組んでまいりました。
 公共施設の整備では、新たな地域づくりの拠点施設として、緑陽コミュニティセンターを開館するとともに、「横須賀文化の発信拠点」「映像を中心とした創造活動の場」「多世代交流の場」として創造の杜交流館を開館いたしました。
 そして、子どもの安心安全な学習環境として、小中学校の特別教室、中学校体育館へ空調機を設置するとともに、子育て世代における経済的負担を軽減するために、認可保育所等の第2子以降の保育料と副食費の無償化や公立保育園及び小中学校の給食費の一部を公費負担、また、子育て世代が安心して住み続けられる住環境を確保するため、三世代での同居又は近居する子育て世帯に住宅の新築等の費用を補助するなど、未来を担う子どもたちのためのまちづくりに積極的に取り組んでまいりました。
 私にとりまして、この4年間は、先人がまかれた希望の種を育て、着実に花を咲かせることができるよう、全力で傾注した1期目となりました。

市政運営の基本姿勢及び重点施策

 このたび、2期目の市政運営を担わせていただくにあたり、これまでのまちづくりの歩みを「継承」しつつ、急速に変化する社会情勢や、多様化・複雑化する市民ニーズに柔軟かつ的確に対応できる強靭でしなやかなまちを目指し、本市が更に「飛躍」できるよう取り組んでまいります。
 本市の「飛躍」に向けた3つの重点項目の1つ目として「『市民の生命・財産・暮らし』を守る」ことでございます。近年、気候変動の影響により、頻発化・激甚化している風水害をはじめとする自然災害と、いつ発生するかわからない南海トラフ地震への備えも、喫緊の課題と考えており、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
 2つ目は、将来の本市のさらなる発展に直結する「『社会インフラ整備』の着実な推進」でございます。現在、進めております西知多道路大田インターチェンジ(仮称)の整備や、太田川駅西土地区画整理事業、名和駅西土地区画整理事業、加木屋中部土地区画整理事業をはじめとした面的整備を前進させ、新たな雇用の創出、定住人口や交流人口の拡大につながるよう取り組んでまいります。
 そして、3つ目は「少子高齢化に伴う人口減少への取り組み」でございます。全国的に少子高齢化・人口減少が進み、本市についても近年では減少傾向となっております。子どもたちや若い世代の方々が東海市に魅力を感じていただけるよう結婚、出産、子育てと切れ目のない支援の充実や住宅施策をはじめとした様々な子育て施策に「まったなし」で取り組んでまいります。

戦後80年を迎えて

 さて、令和7年は戦後80年という大きな節目を迎えます。今もなお、ウクライナや中東では紛争が続き、尊い命が失われている現実、そして核兵器の存在がもたらす脅威にさらされている社会において、私も含めて先の大戦を知らない世代が全人口の約9割を占めることとなった今だからこそ、あらためて、戦争の悲惨さを胸に刻み、平和の尊さについて深く認識し、恒久的な平和の実現に向けて、次世代に平和な未来を引き継いでいく決意を明らかにする機会としなければならない、と考えております。そこで、この戦後80年という節目の年にあたり、先人たちのたゆまぬご尽力により築かれた「ひとづくりと平和を愛するまち東海市」を次世代に引き継いでいくため、「平和都市」としての東海市の決意を内外に発信してまいりたいと考えております。

経済見通し

 今日の我が国の経済の状況といたしましては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されておりますが、国際的な通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっております。加えて、長期化する物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、景気を下押しするリスクとなっており、先行きについては、依然として不透明な状況でございます。

本市を取り巻く状況

 特にアメリカのトランプ大統領の就任により自国の利益を重視する保護主義的な動きが進み、広範囲かつ大規模な相互関税を適用させる、いわゆるトランプ関税により本市の基幹産業として経済を牽引する鉄鋼産業をはじめ自動車関連産業において先行きが厳しい状況が懸念されます。また、所得税の基礎控除や給与所得控除の額の変更、いわゆる「103万円の壁」の引き上げの問題は、地方への影響が懸念され、今後も注視していく必要があると考えております。
 このような経済状況が不透明な一方で、本市を取り巻く環境には、まちの飛躍に繋がる明るい要素もございます。8年度に開催される第20回アジア競技大会におけるカバディ競技の招致は、本市の認知度向上と交流促進に大きく貢献するものと期待しております。そして、近い将来、リニア中央新幹線が開業し、中部国際空港と名古屋駅の中間点という本市の優れた立地特性を活かすことで、本市の広域交通拠点としてのポテンシャルをさらに高め、国内外からの人流・物流の拡大を契機とした地域経済の活性化に繋げるため、そのチャンスを最大限に享受できるよう、関連施策を果断に推進してまいります。
 このような状況を踏まえ、市民生活の安心・安全を確保し、まちの活性化を図ることにより、まちづくりの歩みを止めることなく、更にステップアップするため、令和7年度予算は、必要な事業費を確保するとともに、未来への飛躍につながる積極的な予算編成といたしました。

令和7年度の主な施策

 今回補正いたします額を含め、令和7年度の予算規模は、一般会計では、575億921万7千円で、前年度の当初予算に比べ2.8%の減、全会計の総額では、843億6,985万7千円で、3.7%の減で編成をいたしました。
 補正予算の詳細につきましては、後ほど担当部長より説明させていただきますが、私からは、第7次総合計画に掲げる5つの「目指すまちの姿」及び施策の推進を下支えする行政推進項目を中心に、ご説明申し上げます。

安心して子育てができ、子どもが健やかに育っている

 1点目は、「安心して子育てができ、子どもが健やかに育っている」とする子ども・子育て分野でございます。私が市長に就任してから、まちの宝である子どもたちが楽しく健やかに暮らし、安心して子どもを産み育てることができる環境を整備してまいりました。しかしながら、先ほどの重点項目でも述べましたが、人口減少の波は想定以上に進む中で、「子育てするなら東海市」といわれるまちづくりをさらに推し進めてまいります。
 近年、気候変動の影響により夏場の猛暑や冬季の寒さなど、子どもたちが日中に気軽に屋外で遊ぶことができなくなりつつあります。子どもたちにとって幼少期の「遊び」は身体能力や創造性を育む上で不可欠であるため、天候に関わらず子どもたちが安全に遊べる屋内のこどもの遊び場を整備いたします。屋内こども遊び場は旧市営温水プールの建物を活用し、施設内の遊具の選定においては、将来、子育てを行っていく若い世代の意見も取り入れて子ども達が楽しく遊べる場を提供してまいります。また、小学校屋内運動場においても夏場の猛暑日の常態化により体育の授業や学校行事中の熱中症のリスクが高まるなど子どもたちの夏場における安全確保が喫緊の課題となっております。施設内の気温を考慮しますと、一日も早く空調機を設置する必要があると考えております。このことから初期費用を抑えつつ早期の導入を可能とするリース方式により全小学校の屋内運動場に空調設備を導入してまいります。加えて拠点避難所となる屋内運動場には災害時にも稼働できるよう非常用発電機の整備を進めてまいります。
 妊産婦から児童の保健と福祉を一体的に支援するこども家庭センターについて、引き続き、その機能強化を図り、妊娠期から子育て期に渡る切れ目のない支援に取り組んでまいります。また、お子様の発達や成長に関する不安を抱える保護者の方に対して、引き続き、安心して子育てができるよう専門的な見地からの助言や指導に取り組んでまいります。
 保育サービスにおきましては、認可保育所等の第2子以降の保育料等の無償化を認可外保育施設等に拡充し、多様な保育ニーズに対応し、多子世帯の経済的負担を軽減し、安心して子どもを預けられる環境を整備いたします。また、園児の園庭活動時の熱中症対策のため、保育園の園庭等に日よけネットを計画的に設置することとし、まずは、7年度に公立保育園4園に設置してまいります。また、計画的にトイレの温便座化を進めるなど、園児たちが快適に過ごせる保育環境の向上に努めてまいります。
 学校教育におきましては、7年9月からの休日における中学校部活動の地域展開に対応できるよう、吹奏楽部地域クラブを運営するための指導者や活動場所について支援を行い、子どもたちが文化芸術に継続して親しむことができる機会を確保いたします。
 また、通常学級に在籍する発達に特性のある子どもたちへの支援についても、一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな支援体制を強化するため、支援員の配置人数について増員いたしました。

住みやすい環境を保全し、にぎわいと活力に満ちている

 2点目は、「住みやすい環境を保全し、にぎわいと活力に満ちている」とする環境・経済分野でございます。
 脱炭素社会や循環型社会の実現に向けた取り組みと、農業や観光資源の魅力向上や商工業の活性化などをともに推し進める、環境と経済の両立により、まちににぎわいと活力の創出を目指した取り組みを進めてまいります。
 脱炭素社会の実現に向けては、本市も率先して環境負荷の低減に努めるとともに、市内事業者や市民の皆様に協力をいただき、取り組んでまいりました。4年3月1日には「ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、6年からは同日、3月1日を「ゼロカーボンの日」と定め、脱炭素社会の実現に向けた機運を高めてまいりました。近年の技術革新により、製造過程での二酸化炭素排出量を従来の鉄鋼製造と比べて大幅に削減した鉄鋼材料である、いわゆる「グリーンスチール」が注目されております。本市におきましても木材の活用に加えて、グリーンスチールを原材料とした物品の購入を進め、今後、さらに地球温暖化対策を推進できるよう市の率先した姿勢を示してまいります。
 また、従来の太陽電池に比べて軽量で柔軟性に優れ、耐荷重の小さい屋根や曲面のある壁面等、今までの太陽光パネルが設置できないところでも導入が可能となるペロブスカイト太陽電池を庁舎等の公共施設に導入できるか検討してまいります。具体的には愛知県が民間企業と協力して設立したあいちペロブスカイト太陽電池推進協議会へ加入し、先進的な実証実験に参加してまいります。
 加えて、公共施設の照明のLED化を速やかに行うため、一括リースにより、8年度までに予定では95施設の照明を計画的に整備ができるよう準備を進めてまいります。
 ごみの減量、循環型社会の構築に向けては、これまで可燃ごみとして回収している刈草、剪定枝、木材の家具について可能な限り資源物として回収するため、リサイクルセンター敷地内に市民の方々が無料で持ち込めるようにして、木材資源化処理を推進し、ごみの減量化・有効活用を図ります。また、市民の方々のご家庭での取り組みを支援するため、生ごみ処理機購入への補助を実施することで生ごみの容量減少や堆肥化させることにより、ごみの減量を推進してまいります。
 次に農業分野においては、本市の新たな特産品としてブランド化を進めております、かんきつ(夕焼け姫)の生産・出荷に向け支援を続けてまいります。そして、夕焼け姫をふるさと納税の返礼品とするだけでなく、収穫体験ができる返礼品とすることで市外の方にも認知していただけるよう努めてまいります。また、様々な物価の変動が続く中、農業用資材の価格高騰など、農業者の経営努力だけでは避けられないリスクに対応するため、出荷用資材の購入経費の一部を補助する営農継続支援補助事業により、農業経営を支援し、本市の農業を守り育ててまいります。
 米やガソリンなど生活に直結する物資の価格が高値を維持するなど市民生活を脅かし、地域経済の停滞が懸念されている中で物価高に苦しむ小規模事業者と市民生活を下支えするため、昨年度に続き、国の交付金を活用し、キャッシュレス決済ポイント還元事業を実施することにより、市民の皆様の生活を支援してまいります。
 観光振興については、私はかねてから本市単独で対応するのではなく、知多半島全体で広域的な視点から戦略を立案・実行していくことが重要と考えております。西知多道路の整備など、今後、知多半島の交通流動性が高まるなかで各市町が連携し、地域の特性に応じて役割を分担し、知多半島全体を盛り上げていきたいと考えております。そこで公益社団法人日本観光振興協会などが主催し、世界最大級の旅の祭典とされる「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」が9月に常滑市で開催されることから、本市が加盟する知多半島観光圏協議会として、共同出展を通じ、本市を含めた知多半島の魅力を国内外へ積極的に発信してまいります。

人と人との絆を育み、だれもが役割を持ち支え合っている

 3点目は、「人と人との絆を育み、だれもが役割を持ち支え合っている」で地域づくり分野でございます。
 誰もが安心して暮らせるまちであるためには、年齢や性別、障がいの有無、国籍、性的指向、性自認など、あらゆる違いを認め合い、多様な人々が互いの個性を尊重しながら共生する地域社会の実現が不可欠です。市民一人ひとりがかけがえのない存在であり、それぞれが地域の中で役割を持ち、支え合うことのできる社会の実現を目指してまいります。
 高齢者、子ども、障がいのある方、生活困窮者など、様々な困難を抱え、公的な福祉サービスでは対応できない特別な支援を必要とする方々に対し、個別のニーズや状況にきめ細やかに対応できる重層的な支援体制を引き続き、整備してまいります。今後も、社会福祉協議会をはじめ各種団体と協力し、各コミュニティにおける地域福祉体制の整備を進め、医療、介護、福祉、就労支援など、切れ目のない、そして分野横断的なサポートを提供することで、誰ひとりとして取り残されることのない地域社会を目指します。
 また、地域課題は年々、複雑化・多様化しており、行政の力だけでは解決が困難な状況が増えております。こうした課題に対し、市民の方々をはじめ、NPO、各種団体、そして企業や大学など、多様な主体がそれぞれの強みを活かして連携・協働する取り組みを推進することが不可欠であります。市民一人ひとりが地域活動に興味・関心を持ち、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という意識を持って主体的にまちづくりに関わることのできる仕組みづくりを強化してまいります。具体的には、コミュニティを中心とした地域運営体制づくり事業において、モデル地区である緑陽コミュニティ、渡内コミュニティ、富木島ふれあいコミュニティ、加木屋コミュニティの4つのコミュニティが、まちづくりの羅針盤として作成した「地域の将来像」の実現を目指して、地域課題の解決や活力の創出につながる取組を進めることにより、地域住民同士の顔が見える関係性を深め、互いに助け合い支え合う「互助」「共助」の仕組みを強化し、地域の絆が強固になり、地域全体の活性化につながるものと期待しております。
 さらに、性的マイノリティ等の方々を含め、多様な性に関する悩みや不安を抱える方々が安心して相談できる、多様な性に関する相談窓口を設置し、専門的な支援を行うことにより、すべての市民の人権が等しく尊重され、いかなる差別や偏見もなく、誰もが自分らしく生きられる環境づくりにつながるものと認識しております。

心身ともに健康で、いきいきと生活している

 4点目は、「心身ともに健康で、いきいきと生活している」で健康・生涯学習分野でございます。
 全ての市民の皆様が、年齢にかかわらず、身体的にも精神的にも健康で、日々の生活に生きがいと喜びを見出して、いきいきと暮らし、生涯にわたり心身の健康を維持することができるよう、施策を推進してまいります。
 昨年度に策定した「第3次健康増進計画」に掲げる基本理念である「すべての人が生涯にわたり健康に暮らせるまち」の実現に向け、疾病の早期発見・早期治療に向けた取り組みを強化してまいります。7年度からは、骨折のリスクが高まる骨粗しょう症の予防・早期発見を目的とした検診や後期高齢者の方々を対象として口腔機能に着目した歯科健診を新たに実施するなど、市民の健康づくりを支える環境を充実してまいります。
 生涯学習活動の支援のため、市民の映像(映画)を中心とした創造活動の場の拠点として、7年5月1日に開館した創造の杜交流館の更なる活用を図ってまいります。映像ホールやスタジオ、映像編集室などを活かし、映画の上映や多様なワークショップ、講座などを実施することで、市民の皆様が気軽に映像に触れ、自らが創造的な活動に取り組める機会を提供いたします。これにより、創造の杜交流館が市民の皆様にとって、新たな学びや出会いの場となることはもちろんのこと、ワークショップなど、映像文化に触れた子どもたちが、未来のクリエイターとして市内外で活躍することを期待しております。
 スポーツは、体を動かすことによる健康増進効果はもちろん、目標に向かって努力することによる精神的な充足感、仲間との交流による社会性を養うなど、心身両面における健やかな生活を支える大きな力となります。これまで、ふるさと大使である「日本製鉄東海REX」、「大同特殊鋼ハンドボール部フェニックス」、「愛知製鋼陸上競技部」に多大な御協力をいただき、本市のスポーツ活動を盛り上げていただいているところです。また、世界的な大会で活躍する本市出身のフィギュアスケート、りくりゅうペアの木原龍一選手、愛知製鋼所属の陸上の山西利和選手、丸尾知司選手、卓球の篠塚大登選手といった、本市にゆかりのあるトップアスリートの方々が国内外で活躍される姿は、市民の皆様に大きな感動と誇りを与えており、スポーツが持つ夢や希望を与える力を改めて感じているところでございます。こうしたトップアスリートの活躍を契機に、市民の方々が身近にスポーツに親しめるよう取り組んでまいります。本市はこれまで、基幹産業である鉄鋼の産業都市として、またランの栽培が盛んな「鉄とランのまち」として発展してまいりましたが、今後はさらに、「スポーツのまち」としてもその魅力を高めてまいります。その具体的な取り組みとして、近年、特に若者を中心に人気が高まっている種目など、多様なニーズに対応できる新たなスポーツ拠点整備として、旧青少年センター跡地に人気の盛り上がりをみせるバスケットボールコートを整備してまいります。また、6月には大相撲夏場所時に勤労センターを宿舎として滞在する錣山部屋にご協力をいただき、ちびっこ相撲体験会を開催してまいります。8年度は第20回アジア競技大会のカバディ競技が市民体育館を会場として開催されますので、多くの世代の方にカバディ競技を知っていただくための体験会や小学校への出前授業などのPR活動を引き続き実施するとともに、市民体育館のバリアフリー化やトイレ改修等スポーツに取組む環境の整備を進めてまいります。このような取り組みにより、子どもから高齢者まで、様々な世代の市民が気軽に多様なスポーツに触れ、楽しむことができるようになり、健康増進はもとより、世代間交流や新たなコミュニティ形成の促進にもつながるものと期待しております。
 本市の文化芸術における重要な拠点である芸術劇場が、7年10月に開館10周年を迎えます。この節目を記念し、市民の皆様に質の高い舞台芸術や演劇に触れていただく機会を提供するため、総合芸能であるオペラ「蝶々夫人」の全幕公演を実施いたします。この公演では東海市ひとづくりパートナーシップ協定を締結している名古屋フィルハーモニー交響楽団を中心に、これまで積み重ねてきたひとづくりの成果の集大成として東海市子どものオーケストラをはじめとした4団体の一部出演も予定しております。また、東海児童合唱団の定期公演では25周年を記念し制作したオリジナルミュージカル作品の初披露を予定するなど、10周年を契機として更なる市民の文化芸術活動への意識の高揚を図ってまいります。

安心・安全で快適に暮らせる都市機能が充実している

 5点目は、「安心・安全で快適に暮らせる都市機能が充実している」で安心安全・都市基盤分野でございます。
 市民の皆様が、日々の生活を安全に、そして快適に送ることが大切であると考えており、都市機能の更なる充実を図ってまいります。
 冒頭の重点項目でも述べたとおり、全国では毎年、局地的な集中豪雨による浸水被害が発生しておりますので、加木屋町内堀地区の浸水対策として引き続き、大田川第7雨水幹線の整備を進めてまいります。また、想定最大規模降雨などのシミュレーション解析に基づく浸水想定区域図を7年度中に作成し、ため池を活用した浸水対策を検討してまいります。
 また、いつ発生するかわからない大規模災害への備えは、市民の生命と財産を守る上で最も重要な課題であります。特に、避難所における生活環境の確保は、被災された方々の心身の負担を軽減するために極めて重要です。6年の元日に発生した能登半島地震では、消防職員、水道部の職員をはじめ、被災地支援の職員派遣を実施してきました。この派遣による経験や派遣者の意見を本市におけるこれからの災害対策に活かしてまいります。災害時における避難所環境の向上を図るため、拠点避難所となる各小中学校への整備を計画的に進めてまいります。7年度は名和中学校と横須賀中学校に貯留型マンホールトイレを整備し、断水時においても衛生的なトイレ環境を確保し、避難生活を送る皆様のプライバシーと健康を守ってまいります。また、被災された方々が一日も早く元の生活を取り戻せるよう、被災者の迅速な生活再建を支援するシステムを導入いたします。罹災証明書の発行手続きや各種支援金の申請などを円滑に行えるようにすることで、煩雑な行政手続による被災者の負担を軽減し、生活再建に向けた歩みを力強く後押ししてまいります。
 火災、風水害、地震等の災害発生時の状況把握や情報収集は、迅速かつ適切な対応のために不可欠であることから、ドローンを2台、消防本部に配備し、被災現場の状況をリアルタイムで把握し、救助活動、火災調査などに活用することで、より効果的かつ機動的な防災体制を構築してまいります。
 本市の持続可能なまちづくりを進めるための重点項目の2つ目に掲げた、社会インフラ整備を着実に進めてまいります。本市の産業・物流機能の強化のため、西知多道路大田インターチェンジ(仮称)の整備を着実に進めてまいります。太田川駅西土地区画整理事業では、工業系、商業系の事業者が進出することに加え、日本福祉大学東海キャンパスの拡張のための建設工事が始まるなど、新たな賑わいと交流を生み出す重要なプロジェクトを着実に進めてまいります。また、加木屋中ノ池駅に近接した加木屋中部土地区画整理事業では保留地の売却を開始し、新たな宅地の供給を進め定住化の促進を図ってまいります。これらの大規模な市街地整備を計画的に進めることで、都市機能の更なる充実を図り、多くの人々を惹きつけ、本市に「住みたい」「住み続けたい」と思っていただけるまちを創出してまいります。
 若い世代や子育て世帯の市内への定住促進は、将来のまちを支える礎となります。引き続き、三世代での同居又は近居する子育て世帯に住宅の新築等の費用の補助を実施し、子育て世帯の経済的な負担を軽減し、安心して市内での居住を選択していただけるよう支援を行ってまいります。
 市民の皆様の身近な「移動手段」として多くの方にご利用いただいている循環バスについては、これまでも需要の多い路線・時間帯を考慮したダイヤ・ルートに見直すなど利便性の向上に努めてまいりました。今後は待合環境の整備に力をいれてまいります。快適にバスを待つことができるよう、主要な公共交通結節点や利用者の多いバス停を中心にバスシェルターやベンチの設置を7年度から順次計画的に行い、バス利用者の利便性を向上させてまいります。
 市民の皆様が日常的に利用する道路の安全確保も、都市機能の基本となります。近年、他都市において路面下の空洞が原因で陥没事故が発生し、尊い命が失われる痛ましい出来事が発生いたしました。このような悲劇を二度と繰り返さないため、本市においても、下水道管路の点検、調査を進めるとともに、地中の空洞を調査するレーダを搭載した空洞探査車を走行させ、路面下の状況を早期に把握し、必要な対策を講じることにより、市民の皆様が安全に通行できる道路環境の維持管理に万全を期してまいります。

行政推進項目

 6点目は、「行政推進項目」で、これまでの5つの分野のめざすまちの姿の実現に向けて、施策の推進を下支えする行政が主体となって取り組むもので、変化の速い時代にあって、市民ニーズに的確に応え、限られた財源や人材を最大限に活かすため、効率的で効果的な行政運営を目指してまいります。
 具体的な取り組みとして、窓口業務のデジタル化を引き続き推進してまいります。来庁された市民の皆様が各窓口で行う手続きを、よりスムーズに、より便利にできるよう、デジタル技術を積極的に活用し、「書かない、待たない、回らない」ワンフロアでワンストップ窓口の実現に向けて、申請書類への記入負担を大幅に軽減する窓口業務支援システムの導入を進め、窓口にお越しいただいた市民の皆様は、口頭での情報提供や本人確認だけで手続きが進めることができることにより、書類作成の負担の軽減につなげてまいります。
 また、オンラインでの手続きを拡充するなど、来庁せずとも行政サービスを受けられる環境整備も併せて進め、市民の皆様の利便性を飛躍的に向上させてまいります。一方で、デジタル化の推進にあたっては、全ての市民がその恩恵を享受できるよう配慮することが極めて重要です。高齢の方や、デジタル機器の操作に不慣れな方などが取り残されることがないよう、デジタルデバイド対策に取り組んでまいります。

結び

 以上、2期目の初年度にあたり、第7次総合計画に掲げるめざすまちの姿を中心に施政の所信を申し述べてまいりました。結びにあたりまして、私がこれからのまちづくりにおいて特に大切にしたい心構えについて、紹介をさせていただきます。平洲記念館名誉館長として、また、嚶鳴広場名誉顧問として、本市に長年にわたり携わっていただき、ご指導、ご助言を賜りました故童門冬二先生が去る6年1月13日にお亡くなりになられました。先生が常に説かれ、心の在り方として挙げられた教えに「恕」の心がございます。「恕」とは相手の立場に立って物事を考える優しさやおもいやり、心のぬくもりであると説かれ、日本人が古来より大切にしてきた精神であると述べられております。これは多様な価値観や個性・環境を持った方々がともに生きる現代社会において、互いを理解し、支えあい、困難を乗り越えていくために最も必要とされる教えであり、今だからこそ必要で大切なものではないか、と思っております。ここにあらためて童門先生のご冥福をお祈りするとともに、私自身、市政運営の責任者として、先生が幾度も伝えられた「恕」の教えと精神を今後のまちづくりに投影させ、本市のさらなる飛躍につなげてまいりたいと考えております。
 7年度は、わたくしの2期目の市政運営が本格的にスタートする重要な一年であります。冒頭にも申し上げました3つの重点項目である、「災害に強いまちづくり」、「社会インフラ整備の推進」、「少子高齢化に伴う人口減少への対策」を中心に各種施策を着実に実行してまいります。
 「子どもたちが未来に夢を持ち、安心して子育てができ、すべての世代がいきいきと元気に暮らせるまちづくり」を目指し、そして第7次総合計画に掲げる将来都市像「ともにつながり 笑顔と希望あふれるまち とうかい」を実現するためには、行政だけでは成し遂げられるものでなく、市民の皆様、地域、各種団体、そして市内事業者の皆様と、常に心を通わせ、手を携え、議員各位のご英知と力強いご支援を賜りながら、「オール東海」で一体となって取り組んでいくことが不可欠であります。引き続き、「まちづくりはひとづくり」を信念とし、「人と人のつながり・絆」を大切にしたまちづくりに取り組んでまいります。
 議員並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。

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