施政方針
令和5年度施政方針について
はじめに、2月6日未明にトルコ南東部を震源とする大地震が発生し、建物の倒壊等により、多くの死傷者が出るなど甚大な被害が日々報告されております。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての皆様に心よりお見舞いを申し上げ、被災地の一日も早い復旧・復興を願っております。
あいさつ
議員各位始め市民の皆様の温かいご支援、ご協力によりまして、本市のまちづくりが着々と進展しておりますことを、この場をお借りいたしまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。
市政運営の基本姿勢
さて、令和4年度を振り返ってまいりますと、依然として新型コロナウイルス感染症による第7波や、それに続く第8波の流行があり、まだまだ日常生活においても感染防止対策などに取り組まなければならない状況でございました。しかしながら、国において、感染症法の位置づけを従来の2類から5類に5月8日から引き下げることが正式に決定され、平時の社会経済活動に戻す動きが進んできております。本市におきましては、感染症対策を講じながら3年ぶりに東海秋まつりや東海ハーフマラソンを開催することができ、多くの皆様に参加いただき、少しずつではありますがまちににぎわいや活気が戻ってまいりました。また、地域の盆踊り大会やふれあい祭りなどにお招きいただく機会も増え、子どもたちの笑顔や地域の皆様が生き生きと活動される様子を見るにつれ、私自身も皆様からたくさんの元気をいただき、改めて人と人とのつながり、絆づくりの大切さを実感したところでございます。子どもたちを始め地域の皆様が生き生きと活動できる場を整え守っていくことは市に課せられた使命であり、私自身が先頭に立ち、これからも市民の皆様の笑顔と元気あふれる持続可能なまちづくりに邁進していくと、意を強くしたところでございます。
令和5年度は、第6次総合計画の最終年度であります。平成26年度から始まった第6次総合計画では6分野、38のめざすまちの姿を定め、将来都市像「ひと 夢 つなぐ 安心未来都市」の実現に向け、歩みを止めることなく、着実にまちづくりを進めてまいりました。子育て支援や教育の分野では、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援や、昨年度に高校生の通院分まで対象を拡大しました子ども医療費の助成、中学2年生全員を対象とした沖縄体験学習など、全国的にも類を見ないような取組みにより全国平均より高い出生率を維持し、また、都市基盤整備の分野では、昨年12月に都市計画道路名古屋半田線の市内全域の開通や、太田川駅周辺土地区画整理事業におきましては、5年度に換地処分が予定されており、本市が進めてまいりました太田川駅周辺整備が一つの区切りを迎えようとするなど、今後のまちの発展のための基盤づくりを進めているところでございます。そして、これまでの取組みの成果として、まちづくりの達成状況を測る「まちづくり指標」において、令和3年度の時点で全49指標のうち15の指標で「10年後めざそう値」を達成し、7割を超える指標が計画策定当初の基準値より改善しており、市民生活全般にわたる質の向上、安心・安全なまちづくりを進めるとともに、まちづくりの総仕上げの1年として第6次総合計画の課題と成果を検証し、次の第7次総合計画につなげてまいります。
また、第7次総合計画に併せて次期の総合福祉計画や都市計画マスタープラン、今後のらんらんバスのあり方等も検討する地域公共交通計画の策定なども進めてまいります。これからのまちづくりの根幹をなす計画の策定に向けて、大変重要な1年となりますが、10年先、20年先を見据えつつ、今すべきことにしっかり取り組み、今後のまちづくりの礎(いしずえ)を築くとともに、未来に向かって希望が持てるまちづくりを進め、ふるさと東海市を誰もが誇れるまちに発展させるため、全力でこれからの市政運営に取り組んでまいります。
経済見通し・本市を取り巻く状況
さて、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響などにより、食料品等の価格上昇が続いており、また、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退の懸念など、日本経済を取り巻く環境は厳しさが増している状況であります。政府は、こうした状況から国民生活と事業活動を守り抜き、未来に向けて日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せ、日本経済の再生を図るべく「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を策定し、令和4年度第2次補正予算と合わせて迅速かつ着実に実行することで、経済対策の効果が最大限発揮されるよう万全の経済財政運営を行うとしており、日本経済の先行きについても、これらの各種政策の効果から緩やかに持ち直していくことが期待されております。
一方、本市の状況でございますが、我が国の基幹産業でもあります本市の鉄鋼企業をはじめとした製造業を中心に、業績を改善された法人が多くみられ、4年度の法人市民税収入は、当初予算時より大幅な増収となる見込みでございます。また、本市にございます日本製鉄株式会社名古屋製鉄所におきましては、稼働が延期されておりました「第3高炉」の「火入れ式」が昨年8月に行われ、操業が再開されました。今後も引き続き大規模な設備改修、新規設備の導入などが期待されるところでございます。
5年度の財政見通しといたしましては、これら企業の積極的な設備投資や、コロナ禍から市民生活の回復や経済活動の再開が見込まれるような状況になりつつあることから、市税収入を前年度当初予算より増収になるものと見込みました。しかしながら、これまで進めております養父森岡線や新駅整備、(仮称)創造活動・歴史文化交流施設の整備などの大型建設事業や、少子高齢化の進行に伴う社会保障費、公共施設の老朽化に伴う維持補修費の増額など、歳出が増大すると見込まれます。今後の財政状況も大変厳しいものになると思われますが、増収が見込まれる市税だけでなく、これまで積み立ててきた基金や市債の活用などで第6次総合計画のまちづくりの総仕上げと、将来を見据えて「今」なすべきことをしっかり実行し、未来に向かって希望が持てるまちづくりを進展させていくため、予算規模としては過去最大となる積極的な予算を編成いたしました。
市政運営(経営)方針<令和5年度の主な施策>
令和5年度の予算規模は、一般会計では560億6,200万円で、前年度に比べて12.8%の増、全会計総額では、832億3,078万円で、11.8%の増で編成いたしました。
公約であります七つの政策を中心にご説明申し上げます。
まち・ひとを守る
1点目は、「まち・ひとを守る」でございます。
近年、激甚化・頻発化しております風水害や南海トラフ地震などから市民の生命や暮らし、財産を守り抜くため、引き続き防災・減災対策を進めてまいります。
昨年7月の大雨では、本市におきましても、南加木屋駅付近の大田川の護岸が崩落するなどの災害が発生しました。駅のホームにも近接しており、列車の運行にも支障が出るのではとご心配をおかけしましたが、早急に復旧工事に着手しており、早く元の姿を取り戻せるよう関係機関とも連携を図りながら5年度も引き続き復旧工事を進めてまいります。また、加木屋地区の浸水対策の一環として、100ミリ安心プランに基づく大田川第7雨水幹線の管渠整備についても継続して整備してまいります。
次にソフト面の対策として、浸水被害が予想されるコミュニティの皆様と共同でハザードマップの作成や避難行動訓練などを行ってまいります。いざという時にあわてず地域全体で適切な避難行動がとれるよう市とコミュニティが一体となって災害への備えに取り組んでまいります。他にも、大規模災害が発生した際に、負傷者などの救護活動にあたる災害医療救護所の設置に必要なエアテントなどの救護所で使用する物品を整備してまいります。また、昨年、福祉避難所の設置運営に関する協定を締結しました大同宏緑会の「にじいろのいえ」に備蓄倉庫を設置し、福祉避難所の開設に必要な物品を配備します。
市やコミュニティ、関係団体などが一体となって様々な対策に取り組み、平時からの備えを充実させることで災害に強いまちづくりを進めてまいります。
人を育む
2点目は、「人を育む」でございます。教育は未来への投資であります。本市の未来を担う子どもたちの笑顔と豊かな心を育み、夢や希望を叶えることができるよう環境を整えてまいります。
本市の学校施設は、昭和30年代後半から50年代に建設されたものが多く、築40年を超える建物が全体の約8割を超えており、施設の老朽化も目立ってまいりました。学校施設の建替え・改修について、今後の重要な課題として捉え、基本的な考え方や進め方等を定めた基本方針に基づき、順次、学校施設の建替え等を進めていく計画でございます。最初に建替えを計画しております平洲小学校の建替えに向けての基本計画を5年度・6年度の2か年かけて策定してまいります。
また、学校施設の建替え等には、多額の費用が掛かります。学校施設の建替え等を計画的に進めるための新たな基金を設置し、将来にわたって継続的かつ安定的に財源の確保を図れるよう取り組んでまいります。
次に、学校施設の環境整備でございますが、トイレの洋式化について、まずは小学校低学年の普通教室に近いトイレから順次改修を進め、3か年で全小中学校のトイレの洋式化を進めてまいります。また、音楽室などの特別教室の空調機設置については、5年度に中学校を、6年度に小学校の2か年で実施してまいります。屋内運動場の空調機設置については、名和中学校、横須賀中学校に続き、5年度は富木島中学校、加木屋中学校に設置し、6年度に上野中学校、平洲中学校に設置できるよう準備を進めてまいります。今後も、子どもたちが快適な学校生活を送れるよう環境整備に努めてまいります。
近年、全国的にも不登校の児童生徒は増加傾向にあります。本市も同様の状況で、不登校対策は喫緊の課題であります。本市においては、福祉的視点を持つスクールソーシャルワーカーを2名配置し、学校だけでは対応が難しい、子どもの家庭環境に起因する不登校児童生徒に対して、専門機関と連携して対応できる体制を構築してまいりました。しかしながら、スクールソーシャルワーカーが関わる案件も、年々増加しており、対応に時間を要するケースも多いことから、5年度から1名増員し3名体制とすることで、一人でも多くの子どもたちの悩みや不安をやわらげ、将来に向け、次の段階に進んでいけるよう支援してまいります。
昨年を思い返しますと、本市ゆかりのアストリートの活躍に大いに沸いた1年であったと思います。本市のふるさと大使であります愛知製鋼陸上競技部の山西利和選手は、世界陸上男子20キロ競歩において、日本人初の大会2連覇を達成され、本市初の市民栄誉賞を授与いたしました。同じくふるさと大使の木原龍一選手は、フィギュアスケートグランプリファイナル2022のペア日本勢初の優勝を飾り、本市のスポーツ功労賞を授与いたしました。お二人の活躍は、多くの市民に夢と感動を与え、人々を魅了し、改めてスポーツの素晴らしさを実感したところでございます。これからも市を挙げて応援していくとともに、スポーツの持つ人々を感動させる力、魅力を今後のまちづくりにも生かしていきたいと考えているところでございます。5年度は、市内スポーツ施設の現状について調査し、今後のスポーツ施設整備の方向性について検討してまいります。
暮らしを応援する
3点目は、「暮らしを応援する」でございます。子育て世帯に寄り添った支援を継続していくことで「子育てするなら東海市、日本一子育てしやすいまち」を目指してまいります。
国においては、この4月に発足されるこども家庭庁の下、これまでとは次元の異なるこども・子育て政策を実現させるとし、その第一弾として、伴走型相談支援と出産・子育て応援交付金を実施することとしております。本市におきましては、これまでも子育て世代包括支援センターを中心に妊娠期から出産、子育て期までの切れ目のない各家庭や個人に寄り添った支援を実施しておりますが、国の事業に合わせて、妊娠8か月になる妊婦へのアンケート及び希望者への面談や子育てアプリの導入などを追加して実施してまいります。妊娠届出時及び出生届出後の面談と併せて交付される出産・子育て応援交付金による経済的支援とともに、面談機会や情報発信を拡充・強化することで相談支援体制を充実させてまいります。
4年度から新たに生まれたお子様に一人あたり3冊の絵本を児童館でお配りし、身近な地域の子育て支援施設である児童館を知っていただく取組みを進めておりますが、5年度は、市内の児童館全ての遊戯室に空調機を設置してまいります。より利用しやすい環境を整えることで、児童館の利用を促進し、地域での子育ての相談や支援、交流の拠点となるよう取り組んでまいります。
保育施設について、3年度、4年度の2か年で建設を進めておりました新しい大田保育園が、この4月に開園いたします。その隣接地には社会福祉法人「福寿園」が運営する保育所「きだっこえん」も同じく開所いたします。そして、5年度は、現在、民間事業者による宅地開発が進められております加木屋町の社山北地区に建設されます定員90名の民間保育所に対する補助を実施してまいります。また、公立保育園2園で医療的ケアの必要なお子さんの受け入れを行うため、看護師等の派遣など必要な措置を講じてまいります。誰もが子どもを必要な時に預けることができるよう様々な保育ニーズに対応できる保育体制を民間事業者とも連携しながら構築してまいりたいと考えております。今後も待機児童が発生することがないよう保育士の確保にも努めながら取り組んでまいります。
また、この1月から実施しております保育園や学校給食における食材等の値上がり分の公費負担については、5年度も継続してまいります。今後も価格の動向を注視しながら、子育て支援の一環として、子育て世帯の負担軽減に努めてまいります。
次に、高齢者支援でございますが、高齢者がいつまでも元気で、生きがいを持ち、それぞれの地域で暮らしていけるよう支援してまいります。フレイル予防、運動機能向上を図るための体操教室を新たに実施するとともに、食生活の改善や低栄養予防のための健康支援型の配食サービスを実施し、栄養面や食生活の面からもフレイル予防に取り組んでまいります。好評をいただいております高齢者健康チャレンジ促進事業につきましては、引き続き実施し、これからも高齢者の自主的な健康づくり、生きがいづくりを後押しすることで、高齢者が元気でいきいきと活躍できるまちづくりを進めてまいります。
また、特に50歳代から発症率が増加するといわれております帯状疱疹について、50歳以上の市民の方を対象に、市内医療機関への委託方式により予防接種費用の一部を助成することで、発症予防、重症化を予防し、健康的な生活を維持できるよう進めてまいります。
本市におきましても、この4月からパートナーシップ宣誓制度を導入してまいります。LGBTQなどの性的マイノリティの方がパートナーシップ関係にあることを宣誓し、宣誓したことを市が認めることで、性的マイノリティの方の生きづらさの軽減や支援につながるよう市民、民間事業者にもこの制度の趣旨を周知し、多様な性への理解の促進を図ってまいります。
また、市民の皆様からご要望がございました「おくやみ窓口」を4月から設置してまいります。事前予約制で、ご遺族の負担が大きい死亡届後の各種手続きについて、ワンストップで行うことができる窓口を設置し、ご遺族の負担軽減を図ってまいります。
まちをつくる
4点目は、「まちをつくる」でございます。リニアインパクトや本市の持つ広域的な交通ポテンシャルを生かしたまちづくりを引き続き進めてまいります。
ご案内のとおり、この1月末に新たに主要地方道名古屋半田線などを跨ぐ長さ66メートルの巨大な鉄道橋が架かり、まちの風景も大きく変わりつつあります。加木屋地区で整備を進めております新しい鉄道駅の駅名が「加木屋中ノ池駅」に決まり、令和6年3月末には西知多総合病院側の北改札口を開業する予定でございます。5年度も引き続き養父森岡線や新駅周辺整備を進めてまいります。鉄道については、秋頃には本線への切替えが行われる予定で、養父森岡線整備では、道路や大田川に架かる(仮称)鈴井田橋の整備を、新駅周辺整備では、北口の駅前広場、西知多総合病院までのアクセス通路の整備などを実施してまいります。
新駅に隣接する加木屋中部土地区画整理事業においては、仮換地指定が予定されており、道排水路や調整池の築造工事、整地工事など整備が本格化してまいります。また、社山北地区の民間開発におきましては、一般住宅の建設が始まります。鉄道駅や病院などの都市機能が集約化された利便性の高い新しいまちの姿を早くお披露目することができるよう進めてまいります。
4年度から県との共同事業として実施しております西知多道路の大田インターチェンジ整備でございますが、5年度はインターチェンジの整備に必要な公有水面の埋立てに着手するなど、着実に推進してまいります。隣接する太田川駅西土地区画整理事業では、現在、整地工事が進められておりますが、5年度からは区画道路などの道排水路築造工事に着手してまいります。5年度に換地処分を予定しております太田川駅周辺土地区画整理事業と合わせまして約100ヘクタールの中心市街地整備によりにぎわいの創出や交流人口の拡大を実現し、誰もが誇れるまちへと成長できるよう取り組んでまいります。
ひとを呼ぶ
5点目は、「ひとを呼ぶ」でございます。本市の地域資源や特産品に磨きをかけ、地域ブランド力を高め、交流人口の増加によるにぎわいの創出や地域経済の活性化に取り組んでまいります。
文化センター跡地に建設予定の(仮称)創造活動・歴史文化交流施設でございますが、文化センター解体後の令和6年1月頃から本体工事に着手する予定でございます。7年度の新施設のオープンに向けて、施設内に設置予定の横須賀地区の歴史文化を発信する歴史文化・情報発信コーナーの基本設計、備品の選定、開館に向けてのPRなどを進め、新施設のコンセプトの一つである「映像を中心とした創造活動の場」としての利用につながるよう初心者向けのスマートフォンを使用した映像制作のワークショップを開催してまいります。また、東海市を舞台にした映画の制作に取り組み、制作者側の発信力も生かしながら、地元気運の醸成、シティセールスや観光振興、地域経済の活性化や交流人口の拡大にもつながるよう取り組んでまいります。
本市の特徴であります臨海部の工業地帯を生かした工場夜景等を鑑賞する観光クルーズ船の運航については、将来的な観光資源としての活用について検証していくため、参加者負担金の設定のあり方を見直し、引き続き実施してまいります。
本市の特産であります玉ねぎの栽培において、近年、感染力が強い黒腐菌核病が発生し、深刻な問題となっております。まん延防止のためには、産地全体でまとまって対策を取る必要があることから、土壌消毒剤の購入費用を補助することで、産地を守り、玉ねぎの安定供給を図ってまいります。また、近年の自然災害だけでなく新型コロナウイルス感染症の影響による収入減少など農業者の経営努力だけでは避けられない事態に対応し、農業経営の安定化や営農継続できるよう収入保険制度への加入促進のための補助制度を創設し、農業者を支援し、本市の特色ある都市近郊農業を守ってまいります。
近年、都市公園で生育不良の樹木が見られるため、補植や専門家による管理指導を行い、良好な植栽環境を整え、四季を感じる特色ある公園に再度整備し、公園の魅力を向上してまいります。
また、この1月には「伝えた」から「伝わる」広報の実現を目指して、新たに広報戦略を策定し、5年度にはホームページや広報紙をリニューアルする予定でございます。新たに制作しますシティプロモーション映像と合わせまして、市の魅力発信、イメージ向上に努めてまいります。
新たな生活をつくる
6点目は、「新たな生活をつくる」でございます。デジタル化の推進などにより新たな日常に対応したまちづくりを引き続き進めてまいります。
本年度、横須賀保育園で実証実験を進めておりました保育業務支援システムですが、保護者の皆様の利便性の向上や保育業務の負担軽減にもつながることから、5年度から市内全保育園に拡大し、導入してまいります。小学校・中学校においても児童・生徒の欠席連絡をスマートフォンのアプリ等で行うことができる欠席連絡システムを導入してまいります。また、公営の放課後児童クラブにおきましても、欠席の連絡や利用料金の支払いなどがスマートフォンから可能となるシステムを導入してまいります。子育て世代を中心に行政手続きのデジタル化を推進し、保護者の皆様の利便性を向上し、切れ目なく子育てしやすい環境を整えるとともに、保育士や教員の業務の効率化や負担の軽減にもつなげ、保育や授業の質の向上が図られるなどの相乗効果が発揮されるよう引き続きデジタル化を推進してまいります。
近年、窓口等において外国語での対応が必要なケースが増加しております。また、マスクの着用やアクリル板越しのコミュニケーションとなるため、唇の動きが確認できず、大声での会話になりがちで高齢者等との意思疎通に苦慮するケースも増えてまいりました。高齢者や外国人への説明が多い窓口に、職員や市民が説明した内容がすぐに文字化され、ディスプレイに表示されるシステムを導入し、市民サービスの向上に努めてまいります。
次に、地域づくりでございます。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう持続可能な地域社会の構築を目指して、コミュニティを中心とした新たな地域運営体制づくりを進めてまいります。
本市で初のコミュニティセンターである緑陽コミュニティセンターが4月に開所いたします。コミュニティを中心とした地域づくりの拠点施設として、地域の皆様にもご協力をいただきながらより多くの方にご利用いただき、多世代交流や新たな地域活動の展開など今後のコミュニティ活動について支援してまいります。
4年度から取り組んでおりますコミュニティを中心とした地域運営体制づくり事業につきましては、モデル事業に取り組んでいるコミュニティにおいて、地区の将来像に基づく事業計画の作成等を行い、試行できる事業を検討し、実施に向けた支援を行ってまいります。モデル事業の取組みが、多様化する市民ニーズや新たな地域課題に柔軟かつ適切に対応できる新しい地域の姿として示され、その効果を全市的に波及できるよう進めてまいります。
住み続けられるまちづくり
7点目は、「住み続けられるまちづくり」でございます。時代の変化、社会環境の変化に的確に対応し、誰もが住んでよかった、住み続けたいと思う持続可能なまちづくりを推進してまいります。
本市のまちづくりの最上位計画であり、今後の長期的なまちづくりの指針となります第7次総合計画の策定にあたっては、市民意識調査やインタビュー調査、とうかいまちづくり大学、とうかい未来づくり会議などで幅広い市民の皆様からご意見やご提案をいただき、計画策定に生かしてまいりました。引き続き庁内の策定組織や審議会での議論を踏まえ、今後のまちづくりのあり方やあるべき未来を描き、実現するための計画としてまいります。将来都市像や10年後のめざすまちの姿をお示しする中で、市民の皆様が本市の将来に夢と希望を、そして誇りが持てる計画を策定してまいります。
次に、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進、脱炭素社会の実現を目指す取組みでございます。本市では、昨年3月にゼロカーボンシティ宣言を表明し、現在、市民や事業者、行政の各主体が取り組むべき地球温暖化対策をまとめた「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定中で、本年9月には計画を公表する予定でございます。脱炭素社会の実現に向けては、市民や事業者の積極的な温室効果ガス削減の取組みが重要になってまいりますので、計画策定に併せて計画書の概要版の全戸配布、事業所への配布などにより地球温暖化対策への意識高揚を図ってまいります。また、市民向けの温室効果ガス削減の取組みへの支援としまして、新たに電気自動車などの次世代自動車の購入費の一部を補助してまいります。公共施設におきましては、温室効果ガス排出量が大きい施設を対象に省エネルギー診断や脱炭素化促進計画書を作成し、市自ら率先して、温室効果ガス削減に取り組んでいくことで、今後の市内事業者の取組みにつなげるとともに脱炭素社会の実現に向けた機運を盛り上げてまいります。
脱炭素社会の実現に向けた取組みは、長期にわたるもので、切れ目なく市民や事業者を支援していくためには、長期間にわたり安定した財源の確保が必要になってまいります。地球温暖化対策を目的とした新たな基金を設置し、将来にわたって継続的かつ安定的に地球温暖化対策を実施できるよう財源を確保し、ゼロカーボンシティの実現に向けて着実に歩(ほ)を進めてまいります。
結び
以上、私が公約として掲げさせていただきました七つの政策を中心に、これからのまちづくりの課題と将来の発展のため未来に向けた取組みと施政の所信を申し述べてまいりました。
ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界の秩序は大きく混乱しています。新型コロナウイルス感染症は、5類への引下げが決まり、日常を取り戻す動きが加速しております。まさに社会全体が目まぐるしく変わり、先の見えにくい時代であります。また、超高齢化や人口減少の波は、本市にも確実に押し寄せております。この変化に迅速かつ適正に対応していくとともに、このような社会の変化をピンチではなくチャンスと捉え、更なるまちの成長につなげてまいります。そして、ふるさと東海市を誰もが誇れるまちに発展させてまいります。未来に夢と希望が持てるまちづくりを市民や事業者、団体の皆様と行政が一体となり、一つのチームとなって取り組んでいくことで、夢があふれ、笑顔と希望に満ちた東海市を次の世代にしっかりと引き継いでまいります。
議員並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。
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