施政方針

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ページ番号1006574  更新日 2024年3月4日

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令和6年度施政方針について

あいさつ

 議員各位始め市民の皆様の日頃からの温かいご支援、ご協力によりまして、本市のまちづくりが着実に進展しておりますことを、この場をお借りいたしまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。 

市政運営の基本姿勢

 本市は、令和6年4月1日に市制施行55周年の記念すべき年を迎えます。この記念すべき年を迎えるにあたり、本市のこれまでの歩みを振り返り、今日までの本市の発展のために力を尽くされた先人・諸先輩方の英知とたゆまぬご努力に改めて敬意を表するとともに、その功績を市民の皆様とともに称えるため、来たる5月18日に記念式典を開催いたします。55周年にちなみ「55(GOGO)とうかい」として一年を通じて様々な記念事業を展開し、55周年を市民の皆様とともに祝い、市民と行政との一体感を強め、まちづくりのステップアップを図るとともに、本市への一層の愛着を育む契機としてまいります。
 また、令和6年度は、本市のこれからのまちづくりの指針となります第7次総合計画がスタートする年になります。
 平成26年度にスタートしました第6次総合計画は、将来都市像を「ひと 夢 つなぐ 安心未来都市」とし、市民の皆様とともに「めざすまちの姿」の実現に向けた施策の展開を進めてまいりました。この結果、計画に掲げられた「まちづくり指標」や「成果指標」の約7 割が順調に改善されるなど、本市のまちづくりは着実に進んでおり、多くの成果が見られたものと考えております。
 次の第7次総合計画においても、これまでのまちづくりの考え方を継承し、さらなる発展につなげていくことが重要であります。また、全国的な人口減少、少子化・高齢化のさらなる進行、SDGsをはじめとする持続可能な社会の実現に向けた取組の拡大、デジタル技術の発展など、社会情勢の急速な変化に的確に対応していくことも求められてまいります。これから10年先を見据えたまちを展望し、将来都市像を「ともにつながり 笑顔と希望あふれるまち とうかい」と掲げ、市民や地域、団体、事業者など多様な主体によって「つながり」の輪を広げ、市民一人ひとりの笑顔と希望があふれるまちづくりを進めてまいります。

経済見通し

 我が国の経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあります。 30年振りとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済の先行きには前向きな動きが見られ、デフレから脱却し、設備投資に続き、物価や賃金が上昇し、賃金と物価が好循環する経済の「新たなステージ」に移行する千載一遇のチャンスを迎えております。
 こうした中、政府は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を迅速かつ着実に執行し、デフレから完全脱却するとともに、「新しい資本主義」を実現し、熱量あふれる新たな成長型経済への移行を目指すとし、海外景気の下振れや物価動向、金融資本市場の変動等の影響に注意が必要なものの、引き続き経済成長が期待されているところでございます。

本市を取り巻く状況

 一方、本市の状況でございますが、コロナ禍の中であっても、地域経済活動が大きく停滞することなく、令和4年度決算において、過去最高の市税収入となるなど、これまでのまちづくりの取組が着実に成果となって現れてきております。今後も、リニア中央新幹線や中部国際空港の増設滑走路などの本市にも多大な影響を及ぼす社会環境の変化をいかしたまちづくりや、本年1月に発生した能登半島地震の被災状況などを鑑み、この地域でも発生が危惧されております南海トラフ地震に備えた地域の強靭化にも一層取り組んでいかなければなりません。また、本市におきましても、年間の出生数が千人を切り、人口の微減傾向が続き、少子化・高齢化への対応をしっかりと取り組んでいくとともに、カーボンニュートラルへの取組、多様性を尊重する共生社会の実現、デジタル技術を活用した行財政の効率化や市民サービスの質の向上など、これからの社会環境の変化に的確に対応したまちづくりを進めていかなければなりません。
 令和6年度の当初予算編成にあたりましては、これらの本市を取り巻く社会動向の変化に対応し、第7次総合計画が掲げる5つの分野のめざすまちの姿の実現を目指して、新たなまちづくりのスタートを切るその第一歩を踏み出すために必要な予算を編成してまいりました。
 6年度の本市の財政等の状況ですが、市税では、個人所得の堅調な推移や、引き続き活発な市内の企業活動、設備投資を見込み、市税全体では、当初予算としては過去最高となります約290億円の収入を確保できる見通しでございます。しかしながら、これまで継続して実施しております養父森岡線や加木屋中ノ池駅周辺整備などの大規模建設事業や、 7年度のオープンを目指しております「創造の杜交流館」の建設が本格化してまいります。また、少子化・高齢化に伴う扶助費の増や公共施設の老朽化に伴う維持補修費の増が見込まれるなど、多額の財源が必要で、財政的には大変厳しい状況でございます。
 このような状況ではございますが、今進めるべき諸課題から決して目を逸らすことなく、将来を見据えた新しいまちづくりへの取組も進め、東海市の魅力を高め、さらなる飛躍、発展を目指し、当初予算におきましては、市債や基金を有効に活用して、過去最大規模の積極的な予算編成を行いました。

令和6年度予算の主な施策

 令和6年度の予算規模は、一般会計では591億6,300万円で、前年度に比べて5.5%の増、全会計総額は、876億3,913万円 で、同様に5.3%の増となっております。
 第7次総合計画の施策体系に位置づけられている 5つの分野のめざすまちの姿及び施策の推進を下支えする行政推進項目を中心に、ご説明申し上げます。

子ども・子育て分野

 1点目は、めざすまちの姿を「安心して子育てができ、子どもが健やかに育っている」とする子ども・子育て分野で、これからのまちづくりの主役となります子どもたちと子どもを持つ世代が将来に対して明るい展望が持てるよう、さらなる子育て支援の充実を図ってまいります。
 私は、市長就任以来「子育てするなら東海市、日本一子育てしやすいまち」を目指して、様々な子育て支援の充実に努めてまいりました。これまでも子ども医療費助成制度の通院分の高校生等までの拡大、保育園や学校給食における食材等の値上がり分の公費負担など子育て世帯の負担を軽減し、より子育てしやすい環境整備に取り組んでまいりました。 6年度からは、更に、これまでの第3子以降の保育料等の無償化を本市独自に第2子まで拡大し、多子世帯に対する経済的負担を軽減し、安心して子どもを産み、育てることができ、より子育てしやすいまちとなるよう取り組んでまいります。
 令和5年1月から実施しております材料費の高騰による給食費の値上がり分の公費負担については、6年度も引き続き実施し、子育て世帯の負担軽減に努めてまいります。また、学校給食でのアレルギー対応として、パン・麺類が主食の日の代替食として、新たに各学校で白飯を提供し、保護者の負担の軽減を図ってまいります。
 児童福祉法の改正に伴い、本市におきましても、これまでの「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」の機能を一体的にした「こども家庭センター」を設置します。妊産婦から児童の保健と福祉を一体的に支援できる体制を強化するため、組織改正を行い、「女性・子ども課」を「こども課」とし、こども施策や子育て支援を総合的に推進し、これまで以上に相談情報などを共有することで、切れ目のない一体的な支援ができるよう体制を強化してまいります。さらには、こども家庭センターに心理職を配置する予定で、お子さんの発達や成長に不安を抱える保護者に対し、専門的な見地から寄り添った助言や指導ができるよう相談支援体制を充実させてまいります。
 本市におきましても、不登校傾向等の子どもたちが増加傾向であります。そこで、現在2か所で運営している適応指導教室「ほっと東海」を6年度から3か所目として平洲中学校内に開設します。現在、適応指導教室は、学校復帰だけでなく「子どもの居場所」や「社会で自立する子どもの育成を目指す場」としての役割も担っていることから、これを契機に名称を教育支援センター「ほっと東海」に変更し、不登校傾向等にある児童生徒の支援を充実させてまいります。
 また、子どもたちの豊かな心と健やかな体を育み、安心・安全で快適に過ごすことができる学習環境の整備を引き続き進めてまいります。5年度から取り組んでおります学校トイレの洋式化については、小学校低学年用のトイレを整備しましたが、6年度は小学校高学年用のトイレの洋式化整備を進めてまいります。また、夏の暑さ対策として、特別教室への空調機の設置については、5年度の中学校に引き続き、6年度は小学校の音楽室に設置してまいります。中学校の体育館への空調機の設置については、上野中学校と平洲中学校の2校に設置し、市内6中学校すべての体育館への設置が完了いたします。
 現在、建替えに向けての基本計画を策定中であります平洲小学校については、今年に入って実施いたしました保護者や児童向けのアンケート結果も踏まえまして、新たに建て替える学校が、これまでの平洲小学校の歴史や伝統などの良いところを引き継ぎつつ、新しい時代にも適合した子どもたちにとっても楽しく快適に学べる場になるよう計画してまいります。子どもたちのことを第一に、地域の皆様にも末永く愛される新しい時代の学校にふさわしいモデルとなるよう計画してまいります。
 令和7年9月からの休日の中学校部活動の地域移行につきましては、移行推進委員会を立ち上げ、適切に対応できるよう準備を進めているところでございます。これまでの学校の部活動に代わって、今後は地域の子どもたちを地域で育てていけるような取り組みが必要になってまいりますが、スポーツ活動の場づくりの担い手となる一般社団法人「スポーツクラブ東海」が行うジュニアクラブ事業などに対する助成や、吹奏楽経験者等を中学校の吹奏楽部に派遣するなどの取り組みを通じて、子どもたちがスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保し、様々な体験をすることで更なる人間的な成長につながるよう新たな環境の整備に努めてまいります。

環境・経済分野

 2点目は、めざすまちの姿を「住みやすい環境を保全し、にぎわいと活力に満ちている」とする環境・経済分野で、循環型社会や脱炭素社会の実現に向けた取り組み、農業や観光資源の魅力向上、商工業の活性化など、環境と経済の両立により、まちににぎわいと活力を創出してまいります。
 私は、2年前この場をお借りしましてゼロカーボンシティ宣言をさせていただきました。その宣言の日、本日、3月1日を東海市の「ゼロカーボンの日」として定め、脱炭素社会の実現に向けた機運をより一層盛り上げてまいります。昨年9月に策定いたしました「東海市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の目標達成のため、「とうかい脱炭素チャレンジ2030」と銘打って、市内店舗や事業者等と連携した啓発キャンペーンを展開してまいります。日々の生活の中で地球温暖化対策に取り組めるようご家庭向けのハンドブックを作成し、全戸配布するとともに、小中学生向けには、これからの未来を担う子どもたちが、地球温暖化対策の大切さを理解し、行動できるよう啓発用動画を作成し、市民の皆様方の意識向上につなげてまいります。
 長期的な地球温暖化対策は市民の皆様に過度な我慢を強いることがあってはなりません。そこで、省エネ家電への買い替えに対する補助制度を創設し、事業者に対しては、省エネルギー診断や省エネルギー設備への更新費用に対する補助制度を始めます。市民や事業者等と一体となって、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを更に進めてまいります。
 次に、農業でございますが、本市では、農業の魅力を向上し、持続的な発展につながるよう、農産物のブランド化・産地化の取り組みを推進してまいりました。令和2年度から苗木の購入費を支援しておりますかんきつの新品種「夕焼け姫」ですが、いよいよ収穫できる段階になってまいりました。栽培に必要な土壌被覆資材(マルチング)の購入費対する補助を新たに始めてまいります。また、現在、東海茄子研究会で試験栽培しておりますトゲなし性で一株当たりの収量の高いナスの新品種の苗購入費に対する補助も実施してまいります。かんきつ、ナスどちらも本市の特産品になりうるもので、ブランド化への取り組みを進めることで、魅力ある農業の振興、農業経営の安定を図り、農業者を支援してまいります。
 また、6年度・7年度の2か年で農業振興地域整備計画の見直しに取り組んでまいります。本市の農業の現状や課題等を検討するための基礎調査を実施し、農家の皆さんの意向も踏まえながら、第7次総合計画や都市計画マスタープランとも整合を図り、これまで都市近郊農業地帯として発展してきた本市の農業を守り、持続可能なものとなるような計画を策定してまいります。
 5年度は二度にわたり実施し、市内に大きな消費喚起、経済効果をもたらしましたキャッシュレス決済ポイント還元事業でございますが、引き続き物価高騰の影響を受けている市内小規模事業者や市民生活を支援するため、6年度も国の交付金を活用し、実施してまいります。
 本市の観光資源であります工場夜景の魅力を高めるため、工場夜景観光に取り組んでおります全国13都市が一堂に会します「全国工場夜景サミット」を市制55周年記念事業として本市で開催いたします。また、これまで本市で実施しておりました工場夜景クルーズですが、観光協会が実施主体となり、テレビ愛知の番組「工場へ行こう」とタイアップし、市内の工場見学と工場夜景クルーズを組み合わせたツアーを番組内で紹介をしていただき、本市の魅力を市内外に発信してまいります。

地域づくり分野

 3点目は、めざすまちの姿を「人と人との絆を育み、だれもが役割を持ち支え合っている」とする地域づくり分野で、一人ひとりが互いを尊重し、役割を持って支え合い暮らすことができるよう適切な福祉サービスの提供や、コミュニティを重要なパートナーとしたまちづくりを推進するとともに、人種や国籍、性別、年齢、障がいの有無などにかかわらず相互に認め合い、多様性を尊重し、だれもが活躍できる多文化共生社会、地域共生社会の実現に向け、取り組みを進めてまいります。
 本市では、これまで高齢者や障がいのある方などへの公的な福祉サービスの充実を図ってまいりました。しかしながら、従来の公的な福祉サービスでは対応できない制度の狭間や複雑化・複合化した地域生活課題も増えており、地域における様々な困りごとに対して、相談支援、参加支援、地域づくりを一体的に進める重層的な支援体制を構築できるよう取り組んでいるところでございます。様々な地域生活課題に対応し、個別支援と地域支援の視点から支援を行うコミュニティソーシャルワーカーを新たに配置してまいります。6年度は緑陽コミュニティに1名配置する予定で、今後も社会福祉協議会と協力し、各コミュニティへの配置を進め、地域福祉の体制整備を進めてまいります。
 また、障がいをお持ちの方の生活支援のため相談員を増員するなど 相談体制の充実を図るとともに、在宅で寝たきりの状態の障がい者や高齢者など、理容室や美容院に行くことが困難な方に対し、訪問理美容サービスに係る費用の一部助成や、難聴高齢者の孤立や認知症予防のため、補聴器購入費に対する助成制度を新たに始めます。障がい者や高齢者など、そのご家族の負担の軽減を図ることで、安心して暮らせるよう福祉サービスの充実に努めてまいります。
 次に、コミュニティを中心とした地域運営体制づくりですが、本市では、コミュニティをまちづくりの重要なパートナーとして、新たな地域運営体制づくりを進めており、様々な地域課題の解決に向けて、市民や地域、各種団体等と連携・協力して、協働・共創のまちづくりに取り組んでいるところでございます。現在、4つのコミュニティをモデル地区として、今後の地域づくりにおける課題等を検討し、地域の将来像の実現に向けた懇談会を開催するなど、新たな地域運営体制づくりを進めておりますが、特に地域福祉、防災や防犯の面において、地域に期待すべき役割は、ますます大きくなってきているものと考えております。モデル地区での取り組みの成果を他のコミュニティにも共有してもらうとともに、地域住民の皆様としっかりと連携・協働しながら重層的な支援体制の構築と合わせて新たな地域社会づくりを推進してまいります。
 また、これからの協働・共創のまちづくりの推進に向けて必要となってまいりますNPOをはじめとしたまちづくりの多様な主体間の連携の強化、有機的なネットワークの構築に向けて検討委員会を立ち上げ、さらなる協働のまちづくりの推進体制を整備してまいります。
 本市では、昨年4月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入いたしましたが、この4月からは「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」としてパートナーの方のご家族を含めて宣誓できるよう制度を拡充し、性的マイノリティなどに対する理解が広がり、お互いの人権を尊重しながら共生し、多様性が受け入れられる社会の実現を目指してまいります。

健康・生涯学習分野

 4点目は、めざすまちの姿を「心身ともに健康で、いきいきと生活している」とする健康・生涯学習分野で、すべての市民が生きがいを持ち、生涯をとおして充実した暮らしができるよう、健康づくりや、生涯学習、スポーツ、文化芸術、伝統文化の推進・振興に関する取り組みを進めてまいります。
 市民の「健康づくり・生きがいづくり」を総合的に推進するため、第3次東海市健康増進計画を策定してまいります。引き続き「健康寿命の延伸」を目標に、生涯を通じた健康づくりや生きがいづくりの取り組みを進めていく計画としてまいります。胃がん検診を受けやすい環境を整備するため、6年度から50歳以上の方を対象に胃内視鏡検診を導入いたします。予防接種では、発症した場合に痛みや神経症などの後遺症による生活の質の低下につながる帯状疱疹のワクチン接種において、より自己負担が高額な不活化ワクチンの助成単価を1回あたり5,000円から1万円に引き上げ、健康保持、重症化予防に努めるとともに、 65歳以上の高齢者等を対象とした定期接種となりました新型コロナウイルス感染症のワクチン接種につきましても、今後の国等の動向を踏まえながら、適切に対応してまいります。
 これまで多くの方にご利用いただいておりますしあわせ村健康ふれあい交流館の温浴室ですが、開館から20年以上が経過し、施設の老朽化も目立ってまいりました。ボイラーや非構造部材の改修を含め、施設を全体的に改修し、今後とも、健康づくりやふれあい交流の場として末永くご利用いただけるよう整備してまいります。
 昨年12月に建設工事に着手いたしました「創造の杜交流館」でございますが、令和7年5月の開館を目指して、現在、準備を進めているところでございます。映像ホールや多目的ギャラリー、横須賀の文化や歴史を映像等で紹介する横須賀文化発信コーナー、地域のイベント等でもご活用いただける屋外のイベント広場等を整備し、「映像(映画)を中心とした創造活動の場」、「横須賀文化の発信拠点」、「多世代交流の場」として、まちににぎわいと活力を生む新たな施設として、地元を始め多くの方々にご利用いただける施設となるよう整備してまいります。また、東海市を撮影地にした映画制作も始まります。市民の皆様にもご協力をいただきながら短編映画2作品を制作し、出来上がった作品は、全国の映画館を始め創造の杜交流館でも上映する予定で、開館に向けての気運を醸成し、本市の魅力を再発見するなど、市民をはじめより多くの方々に東海市の良さを知っていただく契機としていきたいと考えております。
 令和8年度には、愛知県を中心にアジア競技大会が開催されます。 本市では、カバディが開催されることになりましたが、まだあまり馴染みのない競技ですので、まずはカバディを皆様に知っていただくため、カバディの体験会を開催し、より多くの方にカバディを知っていただき、アジア競技大会開催に向けて市民と一体となって盛り上げていけるよう PRしてまいります。また、競技会場となります市民体育館については、エレベーターの改修、トイレの洋式化など大会開催に向けて環境整備を進めてまいります。
 本市の偉人であります細井平洲先生を顕彰する平洲記念館・郷土資料館は、開館50周年の記念すべき年を迎えます。これからも平洲先生の教えを後世に伝えていくため、平洲会で「へいしゅうカルタ」を作成いたします。カルタを通じて子どもたちに身近な存在として平洲先生の教えを伝えていけるよう普及啓発に努めてまいります。

安心安全・都市基盤分野

 5点目は、めざすまちの姿を「安心・安全で快適に暮らせる都市機能が充実している」とする安心安全・都市基盤分野で、災害に対する備えや生活安全・交通安全対策などを通じて安心・安全な環境を整えるとともに、都市基盤の整備により、便利で快適な都市空間を形成してまいります。
 今年の元日に発生しました能登半島地震では、石川県を中心に甚大な被害が発生し、多くの方々が避難生活を強いられております。本市からも消防職員をはじめ被災地支援のための職員派遣を実施してまいりましたが、この度の派遣による経験を本市におけるこれからの災害対策にいかしていきたいと考えているところでございます。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と大震災を経験するたびに新たな課題が生まれます。これまでの震災の教訓を決して忘れることなく、私自身が「市民の生命・財産を絶対に守り抜く」という強い決意の下、さらなる防災・減災対策の充実に努めてまいります。
 本市の災害に強いまちづくりの指針となる「地域強靭化計画」を見直し、市民の生命を最大限守り、重要な施設の被害を最小化し、迅速な復旧復興ができる「強さとしなやかさ」を備えたまちづくりを推進してまいります。避難所等で必要になります備蓄用の食糧の更新、災害用トイレ処理セットや発電機を追加整備し、強化してまいります。今回の能登半島地震でも課題となっております避難所の運営にあたっては、行政だけでなく、市民の皆様、地域の方々の協力が必要不可欠であります。コミュニティと一体となって行う市総合防災訓練や各地域で行われる地域防災訓練では、発災時を想定したより実践的な訓練となるよう工夫し、市民、地域、各種団体等と一体となった防災体制が構築できるよう地震等の災害発生時の備えを万全なものにしてまいります。
 降雨による浸水被害が発生しております加木屋町内堀地区の浸水対策として、引き続き大田川第7雨水幹線の整備を進めてまいります。県事業の大田川の河床掘削に併せて新たな樋管口を整備してまいります。また、水防法の改正により浸水想定区域図の作成が義務化されたことに伴い、想定最大規模降雨などのシミュレーション解析の結果を反映させた浸水想定区域図を6年度、7年度の2か年で作成し、今後の本市の浸水対策に活用してまいります。
 本市の中心市街地の形成を目指して平成4年度から順次整備を進めておりました太田川駅周辺土地区画整理事業では、この2月に換地処分という事業の大きな節目を迎え、隣接する太田川駅西土地区画整理事業では、既に決まっている工業系、商業系の事業者の進出に加え、日本福祉大学東海キャンパスの拡張も発表され、約100ヘクタールの中心市街地として、今後ともにぎわいと活力を与えるまちづくりを進めてまいります。
 3月16日には市内で9駅目となります「加木屋中ノ池駅」の北改札口がいよいよ開業いたします。鉄道高架、駅周辺整備と一体的に取り組んでまいりました都市計画道路養父森岡線につきましては、6年度末の開通を目指して、引き続き整備してまいります。駅舎や駅前広場が完成した際には、隣接する加木屋中部土地区画整理事業や社山北地区の民間による宅地開発も含めまして駅を中心とした利便性の高い新しいまちの姿をお示しできるものと考えております。また、名和駅西土地区画整理事業では、広域交通体系の利便性を生かし、産業や物流の集積に向けた土地利用を進めるため整地工事や物件移転補償等に着手してまいります。
 本市の子育て世帯に対する定住促進、住宅確保のための新たな試みとして、子育て世帯が市内で親世帯と三世代同居又は近居する場合の住宅の新築、増築又は購入に対する補助制度を始めます。三世代での同居や近居を増やすことで、子育て世帯の定住促進や子育ての負担軽減等につながり、安心して住み続けられる住環境の確保を図ってまいります。
 市民生活の足、市内の公共交通ネットワークとして多くの方にご利用いただいております循環バス「らんらんバス」でございますが、運行エリアを再編し、需要の多い路線・時間帯を考慮したダイヤ・ルートに見直し、10月から新たに5ルート、8台体制で運行してまいります。知多市に新設されます健康増進施設「アクアマリンプラザ」への市域を跨いだ乗り入れも実施してまいります。ルートの見直しに併せて、循環バスを補完する新たな公共交通としてデマンド交通の実証実験にも取り組んでまいります。循環バス、デマンド交通をうまく組み合わせることで市民の皆様が必要とする地域公共交通体系のあり方について検討してまいります。

行政推進項目

 6点目は、行政推進項目で、これまでの5つの分野のめざすまちの姿の実現に向けて、施策の推進を下支えするため、行政が主体となって取り組むもので、効率的で効果的な行政経営を確立してまいります。
 国が新たに策定しました「デジタル田園都市国家構想総合戦略」などを踏まえ、本市における個性や魅力を活かした地域ビジョンを再構築する次期「東海市総合戦略」を策定いたします。本市が抱える社会課題に対し、デジタル技術を活用した課題解決を図る体系を構築してまいります。
 間もなく開庁以来45年が経過します市役所の庁舎でございますが、長寿命化のため、外壁や空調設備など老朽化した設備等の改修に取り組んでまいります。併せて脱炭素社会の実現に向け、照明器具のLED化なども進めてまいります。
 市役所の窓口のデジタル化に向けた取り組みも推進してまいります。現在、窓口DXとして書かない窓口の導入を目指し、関係部署の職員による検討部会を立ち上げ、国の制度を活用したアドバイザーの派遣や窓口体験調査などを行っておりますが、6年度は、マイナンバーカードなどをご提示いただければ、住所、氏名などの基本情報が申請書に印字される窓口DX支援システムを市民窓口課などに導入し、書かない窓口の実証実験に取り組み、7年度の本格導入に向けて窓口業務の改善を進めてまいります。昨年3月から導入いたしました市公式LINE(ライン)による情報発信ですが、この4月から分野別の配信ができるセグメント配信を導入してまいります。市民の皆様が必要とする情報を、より効果的に効率的にお届けできるよう取り組んでまいります。

結び

 本市は市制施行55周年の記念すべき年を迎えます。また、新しいまちづくりの指針となります第7次総合計画のスタートの年でもあります。55周年記念事業の一つとして、本市の将来を担う子どもたちが、まちづくりに対する夢や提案を発表する「こども未来会議」を、この議場をお借りし、開催いたします。子どもたちから本市の未来のまちづくりに対してどんな提案がされるのか、私も今から楽しみにしておりますが、子どもたちが描く夢や希望を一つでも多く実現できるよう、これからも「まちも人も元気で誇りと愛着が持てるまちづくり」に全力傾注してまいります。
 結びとなりますが、これからも、「住んでよかった、住みつづけたい」と全ての市民の皆様に実感していただける「まちづくり」、「元気で持続可能な東海市 そして更なる発展へ」、私は、揺るぎない信念と強い責任感を持ち、市民、地域、団体、企業の皆様と共にオール東海で取り組み、最善を尽くしてまいります。そして、将来に向かって、夢と希望が持てるまちづくりを次世代にしっかりと引き継いでまいります。
 以上、当面する諸課題と施政の所信を申し述べてまいりましたが、議員、そして市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。

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