男女共同参画啓発事業(男女共同参画に関するコラム)
令和7年度(2025年度)男女共同参画に関するコラム
性別によるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)について
「女性だから、男性だから、母親だから…」 その「もやもや」、「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」かも!? ジャーナリスト(元NHK解説委員)山本恵子
ジャーナリスト(元NHK解説委員)山本恵子
「男なんだからおごってよ」「女子がリーダーってなんか弱そう」「旦那さん、ご飯作ってくれるのエライねぇ」。
これは、愛知県の一宮市が、家庭や地域、学校で、性別を理由に違和感を持った「モヤっとした言葉」を募集したところ寄せられた言葉の一部です。
皆さんは、日ごろの生活の中で、こうした性別を理由に決めつけられたり、役割を押し付けられたりして「もやもや」した経験はありませんか?
この「もやもや」の原因の一つは「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」と呼ばれるものかもしれません。「女性は料理上手」とか「男性は人前で泣かない」など、誰もが「普通は」「…だったらこうすべき」など、気づかない「思い込み」を持っています。
○「無意識の思い込み」何が問題なの?
こうした思い込みは、本人に悪気はなくても、その言葉や行動で、相手を傷つけたり、自分や家族、周りの人のキャリアや可能性を狭めたりしてしまうこともあるため、意識することが大切です。
○男女共同参画が進まない理由
この「無意識の思い込み」が大きく注目されたのは5年前。日本で男女共同参画が進まない原因の一つとして、国が初めての調査を行いその結果が公表されたのです。その結果、回答者の76.3%に性別による無意識の思い込みが見られました。

出典:内閣府 令和3年度 性別による無意識の思い込み (アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究調査結果
また、男女とも2番目に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が多かった項目は「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」でしたが、その割合は男性の方が高くなっています。このほか「デートや⾷事のお⾦は男性が負担すべきだ」「男性は結婚して家庭をもって⼀⼈前だ」「男性は⼈前で泣くべきではない」といった項目は特に男性の割合が高く、男性の方が「男性は~べきだ」という思い込みが強いことがわかりました。年代別では男性の50代と60代で性別役割分担意識が強く、組織の経営や管理職の立場にいることが多いため、「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)事例集」では、こうした立場にいる人は、特に、性別による無意識の思い込みに気づき、解消していく必要性が高いと指摘しています。
○地方からの女性や若者の転出にもつながっている
愛知県を含め、今、地方で共通の課題となっているのは若い女性の都市部への転出です。『女性版骨太の方針2025』でも「女性にも選ばれる地方」が掲げられ『令和7年版 男女共同参画白書』では、その原因についての調査結果が紹介されています。

出典:内閣府男女共同参画局 令和7年版「男女共同参画白書」の概要より
東京圏に住んでいる地方出身の女性は、出身の地域に「家事・育児・介護は女性の仕事」、「地域や親戚の集まりでの食事の準備やお茶出しは女性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識が「あった」と感じている割合が高く、地方に根強く残っているこうした意識や無意識の思い込みが、若い女性が都市に転出し、地元に戻らない要因の一つになっている、と分析しています。
○東海市は?
こうした「思い込み」、東海市はどうでしょうか。東海市の「男女共同参画に関する意識調査」によると「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方について男女で大きな差がありました。女性は73.6%が反対と全国・愛知県を上回ったのに対し、男性は反対が54.7%と全国・愛知県を下回った一方、賛成が43.8%と全国・愛知県を上回っていました。

出典:東海市「男女共同参画に関する意識調査」結果報告書(令和7年3月)
令和5年度実施の「東海市こども計画」のアンケート調査結果によると、就学前の子どもを持つ父親の9割弱はフルタイムで働いていますが、母親は「働いていない人」が30.9%、「今は休んでいる人」が22.1%。また、東海市「男女共同参画に関する意識調査」によると、30代、40代の子育て世代の平日の家事・子育て・介護・地域活動に関わる平均時間について、女性は5時間以上が最も多く、男性は1時間~3時間未満が最も多く、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という現実がみえてきます。
しかし、「今後さらに、男性が子育て等に関わっていくために何が必要か」という質問に、男性の最も多くが「男性が仕事以外の時間を多く持てるよう、労働環境や休暇制度を充実する」と回答している通り、もっと家事・育児等に積極的に関わりたい、ワークライフバランスを優先させたい、という希望が明らかになっています。
○男性活躍の重要性
では、そのために何が必要なのか。私の愛読書『令和5年版 男女共同参画白書』には、初めて「男性活躍」という言葉が登場しました。「女性の職業面での活躍」と「男性の家庭・地域面での活躍」は車の両輪であり、「男性は仕事」「女性は家庭」という固定的な性別役割分担を前提とした「昭和モデル」から、誰もが希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる「令和モデル」への切り替えが必要だ、と指摘しています。
○時代は「イクメン」から「トモイク」へ
共働き世帯数が専業主婦世帯数の3倍近くなるなか、厚生労働省は令和7年、男性が育児を積極的に行う「イクメンプロジェクト」に代わり、共働き・共育てを可能にする「共育(トモイク)プロジェクト」をスタートしました。今後、男性の家事・育児参加を阻害している長時間労働の是正などを企業に働きかけていく、としています。
○「子育てするなら東海市」子育ての主体は誰?
東海市では「子育てするなら東海市、日本一子育てしやすいまち」を目指し、さまざまな取組が行われています。『このまちでママになる』という動画をご覧になった方はいますか?
東海市内の魅力的な子育て支援施設や公園などが紹介されていますが、同時に『このまちでパパになる』という動画があったらいいなと思いました。そして、実際にパパにとっても日本一子育てしやすいまちになるように、東海市には企業などへの働きかけをしてほしいと思います。
○誰もが「自分らしく」生きられる世の中へ
NHKでジェンダー・男女共同参画の解説委員を務めていたとき、毎年世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」を紹介していました。16年連続で世界1位のアイスランドから令和7年に大統領が来日し、男女平等が進んだきっかけは50年前、女性たちが一斉に家事も育児も仕事も休んだ「女性の休日」というストライキだと聞きました。ドキュメンタリー映画があることを知り、映画を観たあと「もやもやを語る会」を開催しました。参加した女性からは「女性は仕事が辞められていいよね」など言われた言葉や、女性にだけお茶くみの研修があった、といった経験が、男性からは、結婚後ずっと稼ぎ手として期待されていることのつらさが語られるなど、女性も男性も性別を問わず、無意識の思い込みによる「べき」、役割を押し付けられるのは苦しいのだと思いました。
50年前、アイスランドでは女性の9割が、押し付けられた「べき」、役割に対する「NO」を一日休む、という行動で示し、世の中を変えました。またNHKの朝ドラ『虎に翼』では主人公の寅子さんが、それまでの当たり前や無意識の思い込みに直面するたび「はて?」と疑問の声をあげていました。皆さんは、どんな世の中だったら生きやすいでしょうか?もし、家庭で、地域で、職場で、また自分の中にある「無意識の思い込み」に、もやもや、違和感を覚えたら、「はて?」と声をあげ、一緒に考え、語り、変えていけたらと思います。「もやもやを語る会」も続けていく予定です。「もやもや」している方は、ぜひご参加ください。
<執筆者紹介>
山本恵子(やまもと けいこ) 氏
ジャーナリスト(元NHK解説委員 ジェンダー・男女共同参画担当)
愛知県美浜町出身。NHK記者、解説委員を経て、現在は名古屋を拠点にジャーナリストとして活躍。ハフポストで「時代のKポイント」連載中。


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