平洲塾11「天がくれた親孝行料」

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ページ番号1004697  更新日 2023年2月20日

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美しい日本人た 「平洲小語」から 第2回

天がくれた親孝行料

細井平洲先生は、よく知られているように、出羽〈でわ〉(山形県)米沢〈よねざわ〉藩主・上杉鷹山〈うえすぎようざん〉の師でした。実際に米沢にいって藩校・興譲館〈こうじょうかん〉で教鞭〈きょうべん〉をとりました。しかし、遠い里まで出かけていって、お寺の本堂や庄屋〈しょうや〉さんの庭などを借りて、そこを文教場にして地域の人びとを教えました。その時にいろいろな話をきいてメモしました。今回ご紹介する話は米沢の経験です。

米沢の丸田〈まるた〉という人の使用人は、まじめで骨おしみをしない働き者として有名でした。またひじょうに親孝行でした。父を早くになくしていたので、のこった母のこともいつも気づかっていました。でも、住みこみなのでいつも母のそばにいられません。そのことをよく知っている主人の丸田さんが、ある日、「たまにはお母さんの様子をみてきなさい。これで好きな物を買ってあげなさい」といって、一両のお金をくれました。使用人はよろこんで礼をいい、主人のことばに従いました。

外は雪です。でも使用人はイヌのように雪のなかを走り、家にたどりつきました。
「お母さん、わたしですよ! ご主人からおみまいのお金をいただいてきました!」と大声で叫び、ふところに手をいれて思わずハッとしました。一両のお金がありません。使用人はまっ青になりました。(途中で落としたのだ!)と思ったからです。

すぐ家をとび出して雪の道にもどりました。血まなこになって歩いてきた道をさがしました。雪のなかをさがすのですから大変です。でも一両のお金はちゃんとありました。よろこんで家にもどると、お母さんがいいました。
「おまえはあわてんぼうだね。さっきこのお金を落としていったよ」
見ると一両のお金です。使用人はおどろきました。雪の道でみつけたお金はほかのだれかが落としたものだったのです。正直な使用人はすぐ役所に届けました。が、役人は、「親孝行なおまえに天が下さったのだ」といってそのまま使用人に返しました。

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