平洲塾3「叩かれても子は親を慕う」
叩<たた>かれても子は親を慕う
『細井平洲先生講釈聞書<ほそいへいしゅうせんせいこうしゃくききがき>』(皆川英哉著、東海市教育委員会発行)から引用(意訳)した一文です。幼児のきもちのナイーブ(純真)さを平洲先生が語ったものです。
幼児を抱いていた母親がトイレにいきます。
そばにいたおばあちゃんに、「ちょっと抱いていてね」とたのみます。ところが、おばあちゃんに抱かれると幼児はむずかり泣きだします。そして、いまでいえば、ママ、ママといって母親を恋しがります。おばあちゃんはあやします。「ママはおしっこだからすぐ戻ってくるよ。いい子だから泣かないで待ちなさい」といいきかせます。
が、幼児は泣きやみません。ママ、ママといってバタバタあばれます。おばあちゃんは困りはてます。ほんとうなら、「うるさいよ! ききわけのない子だね」といって、頭を叩くかギュッとお尻<しり>をつねりたいところでしょう。しかし、孫なのでそれができません。
そこへ母親が戻ってきます。ダダをこねている幼児をみて、「どうしてそんなにききわけがわるいの? こんなちょっとあいだもガマンできなければ、お母さんはおシッコにもいけないよ!」といって、コツンと頭を叩きます。
でも、叩かれても幼児はうれしくて、ママ、ママといってその胸にとびこんでいきます。おばあちゃんはしみじみといいます。
「叩かれても、やっぱりお母さんが恋しいんだねぇ」
平洲先生はこの事実を、
- 親がこどもをかわいいと思う心は天地からもらった"まことの心"である。
- 子が親を慕う心もおなじく"まことの心"である。
このまことの心をみんながもてば、この世に悪人などいない、と説きます。
平洲先生の講釈はこのように身ぢかな、だれでも経験するやさしい例がスタディ(研究)の素材でした。だれもが耳を傾けたゆえんです。
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