平洲塾8「さびしい山路でも、自然が励ましてくれるよ」

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ページ番号1004700  更新日 2023年2月20日

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さびしい山路<やまみち>でも、自然が励ましてくれるよ。

細井平洲先生はいろいろな大名家の藩政や教育の指導にあたりました。上杉鷹山の米沢藩はとくに有名ですが、そのほかにも西条藩(愛媛県)・紀州藩(和歌山県)・大和郡山〈やまとこおりやま〉藩(奈良県)・出石〈いずいし〉藩(兵庫県)・郡上八幡〈ぐじょうはちまん〉藩(岐阜県)・人吉〈ひとよし〉藩(熊本県)・松山藩(愛媛県)・延岡藩(宮崎県)・村上藩(新潟県)などを指導しました。藩という組織とのかかわりだけでなく、藩士個人とも血のかよう温かい交流もずいぶんおこないました。

今月の言葉は、紀州藩士菊池博甫<きくちひろすけ>が江戸から和歌山へ赴任する時に贈ったものです。
正しくは、"但〈た〉だ去〈ゆ〉け 江山〈こうざん〉は詩思〈しし〉を助けん 行き行けば 自ら 旅愁〈りょしゅう〉をして寛〈ひろ〉からしめん"という漢文の詩です。但だ去け、行き行けば、という文章に、ひるむ博甫の背中を力づよく押してあげる平洲先生の愛情がうかがえます。

博甫は藩で「文学(藩校の先生)」をつとめていましたが、のちに勘定奉行をつとめたといいますから、行政面でも活躍した人です。おそらく、江戸生まれの博甫には、山林の多い和歌山へおもくむことにためらいがあったのでしょう。しかもけわしい山道をひとりで孤独に辿〈たど〉らなければならないことを思うと、あまり楽しい旅には思われません。

博甫のそういうきもちを知った平洲先生は、「山や川などの自然をおそれてはいけない。和歌山の自然は必ずあなたを暖かく迎えてくれるよ。自然の愛を信じなさい。こっちが警戒心を持てば、自然のほうも身がまえてしまう。心をカラにして、ただ歩いていきなさい。どんなにさびしくても、こっちから山や川に語りかければ、自然は必ずこたえてくれるよ。そうすれば、険しい和歌山への道も山川草林のすべてが、あなたの新しい友達になるじゃないか」と励ましたのです。わたしたちの人生行路にもそのままあてはまりますね。

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